カテゴリー別アーカイブ: 専門情報

社労士として、職場デザイナーとしての情報

【社会保険料の負担】同月得喪について。(入社して直ぐに「思っていた職場ではない」と感じ、その月の内にやめてしまった場合)

専門情報

 【入社時】 社会保険料の支払い方のルールについて、お話いたします。まず入社について。従業員が月の途中で入社した場合、資格を取得した日(入社日)の属する月から,納付することになります。 A)従業員が月の途中で入社した場合   ▶初回納付月:入社日の属する月 B)従業員が月の初日に入社した場合   ▶初回納付月:入社日の属する月  【退職時】 次は退社について。退職日の属する月の社会保険料はかかりませんが、月末である場合は保険料が発生します。 A)従業員が月の途中で退職した場合   ▶最終納付月:退職日の属する月の【前月】(=退職した月の【前月】) B)従業員が月の末日に退職した場合   ▶最終納付月:退職日の属する月(=退職した月)  【同月得喪の場合】 次に、同月得喪についてです。難しい言葉ですね。ですが、そんな話ではありません。例えば、入社して直ぐに「思っていた職場ではない」と感じた。それで、その月の内に見切りをつけて退職してしまうケースです。 このように入社した月と退職した月が同じ場合(同月得喪)であれば、とりあえずはその月分の保険料を納付しなければなりません。 入社した月の内に退職してしまう場合   ▶最終納付月:退職日の属する月 ですが、やがてトラブルが起こります。退職した元社員が役所に国民健康保険と国民年金の加入手続きに行くと、退職月から保険料を納めてくださいと言われるのです。ですが、給与明細ではその月分の社会保険料がちゃんと控除している。そこで争いになるのです。  結論から申し上げると、このようなケースでは、厚生年金保険料については返金されます。ですが、健康保険料は返金されません。つまり、健康保険については、二重に収めるしかありません。入社したその月に退職した自分が悪い。つまるところそう言うことです。 では、会社としては、この事態にどのように対処しなくてはいけないのでしょうか。通常、会社にお手紙が届きます。「同月中に被保険者資格を取得・喪失された被保険者に関するお知らせ」といった内容です。そしたら、厚生年金保険料について、還付手続を行います。そうすると、会社から余分に取りすぎていた厚生年金保険料が返金されるのです。 ですが、注意が必要なのは、戻ってくる額は、会社負担分・自己負担分を合わせたものだということです。自己負担分は、本来元社員のお金。受け取ったら、元社員に対して、その人の自己負担分を返金します。在職中にその従業員から控除した分です。 なお、退職日が末日の場合は同月得喪には該当しません。社会保険の資格喪失日は、退職日の翌日となるからです。 >>このサイト その他のページ一覧 続きを読む

『固定残業代制』導入時の注意点

専門情報

 「固定残業代制」の導入時は最大限の注意を! 「固定残業代制」とは、毎月の基本給に加えて、『固定残業代』というものを必ず支給するという制度です。世間では「みなし残業代制」とも呼ばれています。 導入するときは以下の点に注意してください。 ◎『通常の賃金に当たる部分』と『固定残業代の部分』をはっきり分ける 基本給と残業代は分けて管理するのですね。切り分けが不明確だと、万一裁判になった時に「残業代が支払われていない」と判断されてしまう可能性があります。 ◎『固定残業代』は、時間外労働の対価として支払われていることをハッキリと伝える   あらかじめ支給する金額・設定時間・清算方法などを書面にて伝えておくのです。 ◎『固定残業代として設定した時間』を超えて働いたときは、その超えた時間分を支払う 固定残業代とは別の話になります。 ◎固定残業代に含まれる残業時間数は、長時間にならないようにする 固定残業代に含まれる残業時間はどのくらいが適切なのか、法律等で決まっているわけではありません。多くても、『36協定書の1か月の上限』までに留めることをおすすめします。つまり、45時間です。1年単位の変形労働時間制を採用しているのであれば、42時間となります。 ちなみに、大抵の企業は20〜30時間となっています。 ◎雇用契約書などで従業員と合意を取る もし固定残業代が正しく運用がされていないと、トラブルになって、最終的に残業代が支払われていないと判断されてしまう可能性があります。ネットなどを見ていると、『固定残業代を導入している会社はブラックだ』と断言している人がいます。ですが、導入の有無だけで判断するのは明らかにおかしいです。問題は、法律に則って正しく運用されているかどうかなのです。 続きを読む

『事業場外みなし労働時間制』は要注意。要件を正しく理解しよう。 

専門情報

 「事業場外みなし労働時間制」が役立つ労働者 通常、従業員の労働時間を把握したい時、タイムカード、監督者の目視、パソコンにおけるログインからログアウトまでの記録時間などで行います。しかし、この方法を取れない従業員もいるのです。例えば、外出して仕事をしている人。そして在宅勤務の人。職種は関係ありません。 そこで導入される制度があります。「事業場外みなし労働時間制」です。一言で言うと、『業務の都合上、労働時間の把握が難しい人達』に対しては、『実際に働いた時間』ではなく、『あらかじめ決められた時間』を働いたものとみなそうという制度です。  「事業場外みなし労働時間制」で得られる効果 もう少し詳しくご説明致しますね。まず前提として確認しておきたいのは、賃金の支払いの対象となるのはどのような時間かということです。言うまでもなく『事業場外で働いた、実際の労働時間』であるべきです。しかしながら、『働いている場所は会社の外』。管理者の目が届かないので、『実際の労働時間』が分かりません。 そこで、あらかじめ『事業場外で行う業務に、通常必要な時間』を決めてしまうのです。『実際に働いた時間』ではなく、『決めた時間』で賃金を計算します。 では、所定労働時間が8時間の会社を例に考えてみます。会社の外でどのくらい働くのでしょうか? 『事業場外で行う業務に通常必要な時間』を8時間とみなした場合 このケースであれば、『会社の外で働いた実際の労働時間』が「所定労働時間である8時間」を超えても、越えなくても、「8時間」は労働したものとして取り扱います。 例えば、従業員が9時間外出したとしても、割増賃金は出ない。しかし逆にいうと、外で6時間しか働かなかったとしても、8時間働いたとして取り扱ってくれるということです。 『事業場外で行う業務に通常必要な時間』を7時間とみなした場合 このケースであれば、「8時間」外出したとしても、7時間しか働いていないとみなされます。つまり、1時間分賃金が控除されてしまうのです。 『事業場外で行う業務に通常必要な時間』を9時間とみなした場合 法定労働時間は、1日8時間。このケースであれば、1時間分が残業となります。常に割増賃金が発生するということです。 ただし、この場合、労使協定を締結して、管轄の監督署へ届出をする必要があります。  満たさないといけない要件 最後に注意点です。この制度を導入する場合、以下の条件を満たして下さい。 ①従業員は、管理者の具体的な指揮監督が及ばない事。 ②実際に働いた時間を把握するのが困難である事。 ③『事業場外の業務に通常必要な時間』を決める際は、適切に設定する事。 ④制度の対象者は『事業場外で業務を行っている人達』である事。  ※事務職など、労働時間の把握ができる人達は対象外。 ⑤就業規則に制度導入について記載をする事。 ⑥制度について、対象となる従業員に対して説明を行う事。 ⑦『事業場外の業務に通常必要な時間』が『法定労働時間(つまり1日8時間)』超える場合、労使協定を締結する事…等。 続きを読む

『すでに別の会社でアルバイトをしている人』を自社がアルバイトとして採用する場合、残業代の問題はどうなるの?

専門情報

 副業 労働時間 アルバイトの掛け持ちをしている人の残業代の問題ですね。実は、御社と他社のどちらが先に雇用契約を締結したかで複雑度が変わります。 御社が先の場合、通常の勤怠管理で給与計算も特段留意すべき点はありません。しかし、すでに他社でアルバイトとして勤務している場合、つまり御社が副業先となる場合は注意が必要です。他社の勤務時間と御社の勤務時間を通算して8時間を超えたときは、『超えた部分』が残業扱いとなり、25%割増が必要です。 具体例で考えてみます。9時から16時までの6時間を他社で勤務し、その後17時から20時までの3時間を御社で勤務する場合、最後の1時間が残業扱いとなります。そう、25%割増です。 同じ日に他の会社で働いていない日でも注意が必要です。法定労働時間は1日単位だけでなく、週単位でも決められているからです。 例えば、他社で月曜日から金曜日の5日間、他社で8時間勤務している人。こうした方が、土曜日に御社で勤務するとなると、その勤務時間の全てが25%割増の対象となります。ただし、業務委託であれば、通算する必要はありません。業務委託は通常の雇用契約ではないからです。仕事の成果に対して報酬が支払われる働き方です。 すでに他社でアルバイトをしている人を採用する際の注意点。それは、他社での勤務時間、週の所定労働時間、休日を申告してもらうということです。 現時点の法令はこうですが、今後の行政の動向次第で変わる可能性もあります。労働時間の計算について、Wワークする本人の自己申告で良いのかという問題があるのです。 続きを読む

「ダラダラ残業」を防ぐために用いる制度は?

専門情報

「ダラダラ残業」を防ぐために用いる制度 今回は、採用率がすごく高い『残業の許可制』の運用上の問題点について考えてみます。 貴方の会社には、「特に仕事もないのに居残りダラダラとカラ残業をしている人は」いませんか? このような行為は、他の社員に対して「悪影響」を及ぼし、「社内のモチベーション」の低下にも繋がります。それだけではありません。これまでは、残業をいくら行っても「行政指導」が行われるだけでしたが、「残業時間の上限」が設定されました。そして、なによりも「カラ残業」は無駄な経費です。実際、次のような時間は残業代の請求ができないとされています。 ・明らかにだらだら仕事している時間 ・居眠りやネットサーフィンをしている時間 ただ、「ダラダラ残業」とはいえ、「裁判」になると「労働時間」として認定されるリスクが高いです。このような状態を避けるために設けられるのが『残業の許可制』です。 「残業の許可制」:社員が残業をする場合に事前の会社の許可を取らせ、それができなかった場合には「事後の承認」を取ることを求める方法。 「残業の許可制」を成功させるためにやること この制度を導入する目的は、「社員に無駄な残業をさせないこと」と「健康管理という観点からの労働時間の抑制」。この制度を使えば、「会社側の意向を無視した残業時間」は「労働時間」として認められなくなります。 とはいえ、「残業の許可制」という制度は、「単に導入すればうまくいく」というものではありません。「早く帰れるというメリット」があるにせよ、これまでは、ダラダラ仕事をしても、その分、残業代が余分に出ていたのです。それが「これまでと同じ労働時間」で、「同じ成果」を出すことを求められるようになる。残業代目当ての従業員にとっては、ありえない事態といえます。 この制度を成功させるカギは「意識改革」です。「残業してでもいいものを生み出す」という考えから、「残業しないでいいものを生み出す」という考えにシフトしてもらうのです。 「残業の許可制」の運用方法 では「残業の許可制」の具体的な運用方法について触れます。やることは簡単。朝礼で「今日、何時に帰るか」を自己申告させるのです。 残業しないためには、まず「残業しない」と決めることです。「定時に終わるわけがない」と最初から思い込んでいるとしたら、その考え方からまず改革しなくてはいけません。 ただし、大事なのは「定時に帰る」ことではなく、「生産性を下げないで、定時に帰る」ことです。「集中」するために必要なのは、「限られた時間内で、どのような結果を得たいのかを明確にすること」です。 人は宣言すると、「それをしなくてはいけない」という強制力が自然に働きます。意識的にせよ、無意識にせよ、自分の思い描いた行動に出たがる習性があるのです。「思い描いたこと」を毎回宣言するだけで、思い描いた人間になろうとするのです。それにより、「所定労働時間内に業務をきっちりと終了させよう」という意欲につながります。 「長時間働く人が会社に貢献している時代」から、「短時間で成果を出す人が評価される時代」に変わる。一定の時間はかかりますが、この小さな習慣を続けることで、社内にいい意味の緊張感が生まれ、モチベーションが上がっていきます。 さらに、朝礼で「メンバーが何時に帰るか」を共有しあうようにします。それにより、チーム全体の調整ができるようになります。「部長は5時に帰るので、4時には書類を終わらせて、4時15分までに相談しなければ間に合わない」、「あいつは6時に帰ると言っていたが、指示していた仕事は間に合うのかな?中間報告させよう」という具合です。 「残業の許可制」の問題点 ですが、この制度。まだ「越えなくてはならない課題」があります。それは持ち帰り残業が生まれやすいということです。「短時間で成果を出す人」が評価されるようになれば、これまで「長時間働くことで会社に貢献してきた人」が立場が悪くなりますよね。そうなると仕事を持ち帰りたいという欲求が生まれてきます。家に持ち帰って仕事をしていては本末転倒です。 持ち帰り残業が生まれる原因が従業員側にあるのか、それとも会社側にあるのかの判定は少々大変です。例えば「業務量が多すぎて残業を余儀なくされているケース」では、会社側の責任と認定される可能性があります。そうなると、残業代が後から請求されることになります。 実際、監督署の調査の時に、こう言われたら釈明が困難です。 ~仕事を持ち帰りの原因は、会社が時間内に終わらないほどの業務を与えていたからであり、会社は持ち帰りのことも把握していた。~ また、自宅に資料を持ち帰ると「情報漏えい」などの「コンプライアンスの問題」も発生します。 そこで、『適正な仕事量』にするための対策についても触れます。朝礼で「退社時間」の申告をしてもらうのではなく、「今日行う仕事の内容」も申告してもらうのです。そうすることでリーダーは「その日の仕事量が適正かどうか」を朝の段階で評価できます。 もし「申告時間に帰れない仕事量」だと判断したときには、サポートを行います。判断する際に考慮するのは次の視点です。 ・その仕事は今日中に行わなければならないのか? ・得意先に対する資料か、単なる社内に回覧する資料か? ・チームで手伝えることはないか?…など 朝礼で「退社時間」だけでなく「今日行う仕事の内容」も申告してもらうことで、「短時間で終わらせる仕組み」や「他の人への仕事の振り分け」も検討できるようになります。 もう一つ補足です。それは『適正な仕事量』はなんぞやということです。 「仕事が多すぎる」、「休憩を取れない」、「時間が足りない」という評価は、「個人」の感覚であることが多く、公平で客観的な基準とは言えません。こうした場合に有効なのは、「標準時間」の設定です。この方法をとることで、「仕事量が適正であるという納得感」を全ての従業員と共有できるようになります。 >>このサイト その他のページ一覧 重大問題が起きる前の『早期サイン』に気づいていますか?就業規則に問題があるかの徹底調査 高度の技術を持つ専門家が、低価格で、徹底的に修正します。就業規則の見直し(改訂) 暴力や嫌がらせをせず、正々堂々真心を持って戦い、勝利するという戦略アドバイザリー  HOME   ご挨拶  コンサルティング  お問合せ        著書   ブログ LSO労務管理事務所(登録番号13110163号)(会員番号1319873号) ℡:070-3220-0088 fax :03-6322-7736 営業時間:9:00~18:00(土日祝祭日を除く) 掲載のコンテンツの無断転載を禁じます。 静岡県浜松市中区葵東2-9-32 Copyright (C) 2022 LSO労務管理事務所 All Rights Reserved. 特定商取引法の表記 | プライバシーポリシー | 利用規約 「ダラダラ残業」を防ぐために用いる制度 今回は、採用率がすごく高い『残業の許可制』の運用上の問題点について考えてみます。 貴方の会社には、「特に仕事もないのに居残りダラダラとカラ残業をしている人は」いませんか? このような行為は、他の社員に対して「悪影響」を及ぼし、「社内のモチベーション」の低下にも繋がります。それだけではありません。これまでは、残業をいくら行っても「行政指導」が行われるだけでしたが、「残業時間の上限」が設定されました。そして、なによりも「カラ残業」は無駄な経費です。実際、次のような時間は残業代の請求ができないとされています。 ・明らかにだらだら仕事している時間 ・居眠りやネットサーフィンをしている時間 ただ、「ダラダラ残業」とはいえ、「裁判」になると「労働時間」として認定されるリスクが高いです。このような状態を避けるために設けられるのが『残業の許可制』です。 「残業の許可制」:社員が残業をする場合に事前の会社の許可を取らせ、それができなかった場合には「事後の承認」を取ることを求める方法。 「残業の許可制」を成功させるためにやること この制度を導入する目的は、「社員に無駄な残業をさせないこと」と「健康管理という観点からの労働時間の抑制」。この制度を使えば、「会社側の意向を無視した残業時間」は「労働時間」として認められなくなります。 とはいえ、「残業の許可制」という制度は、「単に導入すればうまくいく」というものではありません。「早く帰れるというメリット」があるにせよ、これまでは、ダラダラ仕事をしても、その分、残業代が余分に出ていたのです。それが「これまでと同じ労働時間」で、「同じ成果」を出すことを求められるようになる。残業代目当ての従業員にとっては、ありえない事態といえます。 この制度を成功させるカギは「意識改革」です。「残業してでもいいものを生み出す」という考えから、「残業しないでいいものを生み出す」という考えにシフトしてもらうのです。 「残業の許可制」の運用方法 では「残業の許可制」の具体的な運用方法について触れます。やることは簡単。朝礼で「今日、何時に帰るか」を自己申告させるのです。 残業しないためには、まず「残業しない」と決めることです。「定時に終わるわけがない」と最初から思い込んでいるとしたら、その考え方からまず改革しなくてはいけません。 ただし、大事なのは「定時に帰る」ことではなく、「生産性を下げないで、定時に帰る」ことです。「集中」するために必要なのは、「限られた時間内で、どのような結果を得たいのかを明確にすること」です。 人は宣言すると、「それをしなくてはいけない」という強制力が自然に働きます。意識的にせよ、無意識にせよ、自分の思い描いた行動に出たがる習性があるのです。「思い描いたこと」を毎回宣言するだけで、思い描いた人間になろうとするのです。それにより、「所定労働時間内に業務をきっちりと終了させよう」という意欲につながります。 「長時間働く人が会社に貢献している時代」から、「短時間で成果を出す人が評価される時代」に変わる。一定の時間はかかりますが、この小さな習慣を続けることで、社内にいい意味の緊張感が生まれ、モチベーションが上がっていきます。 さらに、朝礼で「メンバーが何時に帰るか」を共有しあうようにします。それにより、チーム全体の調整ができるようになります。「部長は5時に帰るので、4時には書類を終わらせて、4時15分までに相談しなければ間に合わない」、「あいつは6時に帰ると言っていたが、指示していた仕事は間に合うのかな?中間報告させよう」という具合です。 「残業の許可制」の問題点 ですが、この制度。まだ「越えなくてはならない課題」があります。それは持ち帰り残業が生まれやすいということです。「短時間で成果を出す人」が評価されるようになれば、これまで「長時間働くことで会社に貢献してきた人」が立場が悪くなりますよね。そうなると仕事を持ち帰りたいという欲求が生まれてきます。家に持ち帰って仕事をしていては本末転倒です。 持ち帰り残業が生まれる原因が従業員側にあるのか、それとも会社側にあるのかの判定は少々大変です。例えば「業務量が多すぎて残業を余儀なくされているケース」では、会社側の責任と認定される可能性があります。そうなると、残業代が後から請求されることになります。 実際、監督署の調査の時に、こう言われたら釈明が困難です。 ~仕事を持ち帰りの原因は、会社が時間内に終わらないほどの業務を与えていたからであり、会社は持ち帰りのことも把握していた。~ また、自宅に資料を持ち帰ると「情報漏えい」などの「コンプライアンスの問題」も発生します。 そこで、『適正な仕事量』にするための対策についても触れます。朝礼で「退社時間」の申告をしてもらうのではなく、「今日行う仕事の内容」も申告してもらうのです。そうすることでリーダーは「その日の仕事量が適正かどうか」を朝の段階で評価できます。 もし「申告時間に帰れない仕事量」だと判断したときには、サポートを行います。判断する際に考慮するのは次の視点です。 ・その仕事は今日中に行わなければならないのか? ・得意先に対する資料か、単なる社内に回覧する資料か? ・チームで手伝えることはないか?…など 朝礼で「退社時間」だけでなく「今日行う仕事の内容」も申告してもらうことで、「短時間で終わらせる仕組み」や「他の人への仕事の振り分け」も検討できるようになります。 もう一つ補足です。それは『適正な仕事量』はなんぞやということです。 「仕事が多すぎる」、「休憩を取れない」、「時間が足りない」という評価は、「個人」の感覚であることが多く、公平で客観的な基準とは言えません。こうした場合に有効なのは、「標準時間」の設定です。この方法をとることで、「仕事量が適正であるという納得感」を全ての従業員と共有できるようになります。 続きを読む

「第三者行為による傷病届」。他人の行為でケガや病気になった。誰が費用を負担するのですか?

専門情報

はじめに . 他人(第三者)の行為によってケガや病気になることがあります。例えば交通事故や喧嘩です。 . 通常、治療する際に自分の健康保険証を出します。ですが、こうしたケースで治療費を負担するのは、本来、自分の健康保険団体ではありません。加害者です。 . 不法行為によって、他人から損害を受けた場合、通常、被害者は加害者に対してその損害を補償してもらうことになります。それは治療費においても同じです。 . しかし、加害者による支払いが即時行われるとは限りません。そこで、後で加害者から返してもらうことを前提に、とりあえずは自分の健康保険証を出します。この場合,健康保険団体はあくまでも立て替えるだけ。この団体が、後日加害者に対して、かかった治療費を請求することになります。 .. 手続きの方法 . 但し、他人の行為によってケガや病気になったということを、被害者が教えてあげなければ気づきません。そこで、その際の手続きの方法を簡単にご説明します。 . まず行うことは、事故等の状況を電話等で伝えるということ。その後、できるだけ早く次の書類を郵送します。 具体的には次の通りです。 . 「交通事故,自損事故,第三者(他人)等の行為による傷病(事故)届」              ➠この書類は、基本的に被害者である労働者本人が記入します。 「負傷原因報告書」            ➠業務上や通勤途上で起きた事故ではないことを証明するための書類です。            いつ、どこで何をしていた時に負傷したのかを、できるだけ詳しく記入します。 「念書」            ➠次の2つの目的で書いてもらいます。            1)加害者に対してかかった治療費を請求する、その裏付けを明らかにするため。            2)今後の示談進捗状況の報告をしてもらうため。 「損害賠償金納付確約書」            ➠これは、加害者に記入してもらう書類です。            ただし、ケースによっては署名を拒否される場合もあると思います。こうした場合は仕方ありません。            余白に記入できなかった理由を書いて出します。 . 「同意書」            ➠自分の健康保険団体が、後日加害者に対して、かかった治療費を請求することになります。            しかし、その際には医療費の内訳を相手に見せる必要がある。            それは個人情報を提供することを意味します。ですから、その同意をもらう必要があるのです。 .            なお、診療報酬明細書の写を渡す相手は加害者ではありません。加害者の損害保険会社等です。 . 問題は加害者が100%悪いと言えないケースです。この場合、過失割合について損害保険会社とのやり取りが発生し、より複雑な問題となる可能性があります。 続きを読む

同一労働同一賃金とは。シンプルで分かりやすく解説します。 

専門情報

 結婚したくてもできない、子供が欲しくても産めない 国税庁の2019年の調査では、正規雇用の平均給与が503万円に対して、非正規雇用が175万円であり、この格差から、結婚したくてもできない、子供が欲しくても産めないことが社会問題となっています。 そこで注目されるようになったのが同一労働同一賃金という価値観です。これは、正社員と非正規社員との間にある、待遇面の不合理な格差を禁止する新しいルールです。現在、すでに中小企業に対しても施行されており、すべての企業が適用対象となっています。 その中心となる考え方が均等待遇と均衡待遇です。 均等待遇とは: 同じ業務内容であれば、同じ待遇にすること。 均衡待遇とは: 業務内容に違いがあれば、違いに応じた待遇にすること。 実際のところ、正規社員と非正規社員が行っている仕事内容がほとんど同じだというケースはよくあります。これまでは正規社員が非正規社員よりも待遇面で優遇されて当然と考えられてきたからです。しかし、そうした固定観念を変える時がきました。  待遇差はすべて問題視されるのですか? とはいえ、待遇差が一切認められないわけではありません。例えば激務をこなしている人に有利な条件を与えるのであれば、全然問題ないのです。一律に待遇差を否定するのではなく、それが合理的かどうかです。 チェックされる人は、同じ事業主に雇用される全ての通常労働者です。なお、待遇差の比較は、以下の枠組み間で行われます。 短時間労働者と有期雇用労働者 いわゆる「正規型」の労働者 事業主と「期間の定めのない労働契約」を締結しているフルタイム労働者 短時間労働者: 労働契約期間の有期・無期に関わらず、1週間の所定労働時間が同一の事業主雇用される通常の労働者に比べて短い労働者 有期雇用労働者: 期間の定めのある労働契約を締結している労働者  適切かどうかを判断される待遇はどれですか? 適切かどうかをチェックすることになる待遇は何でしょうか? 一言で言えば、『全て』です。例えば、基本給・賞与・手当・福利厚生・教育訓練・安全管理。もしこれらに待遇差があるのであれば、ある理由を“客観的・具体的”に説明できるようにしておかなくてはいけません。そして、労使でその認識を共有しておくのです。 チェックする際に考慮するのは次の点です。 待遇を与えた理由 待遇が与えられるための要件 業務内容の違い 責任の違い 配置変更の範囲 例)通勤手当 通勤手当は、雇用形態で差をつける合理的な理由がなく、アルバイトにも付与する必要があります。責任や能力に関係なく、同じように通勤して、同じように交通費を負担しているからです。 待遇差がある理由の説明ができないと、フェアではないと判断されます。つまり、同一労働同一賃金のルールに違反しているということです。 例)昇給(勤続による能力向上に応じて行うものに限る) 同じ能力の向上であれば同じにし、違いがあれば違いに応じた昇給をしなくてはいけません。 例)特別休暇(慶弔休暇) 特別休暇は、アルバイトにも付与する必要があります。ただ、不利益変更とはなりますが、特別休暇をなくすこともできます。 例)基本給 基本給は、業績・勤続年数・能力・経験・成果に応じて支払うものです。なので、これらに違いがなければ同じにし、違いがあれば違いに応じた支給をしなくてはいけません。つまり、問題は、待遇差が生まれたことが合理的であるかどうか。例えば、能力が高い正社員の基本給を高く、低い非正規社員の基本給を低くするというのであれば問題ありません。 例)賞与 賞与を支給する目的が『業績への貢献』というのであれば、パートさんは何の貢献もしていないということになります。この場合、パートさんにも貢献度に応じた賞与を支給しなければ、同一労働同一賃金のルールに違反します。 なお、業務上の責任がすごく重い場合と、すごく軽い場合とで支給額を変えるのであれば問題ありません。 急速な人口減少により、今後、益々人材獲得競争は激化していきます。「正規」と「非正規」の理由なき格差を埋めていけば、採用の際、魅力ある職場と評価され、人材の確保につながります。それが業績の向上につながり、利益の増加になっていく。働き方改革により、魅力ある職場を作りましょう。 続きを読む

午前のみ有給休暇を取得していますが残業が発生しました。割増賃金の支払いは必要ですか?

専門情報

あしたの準備 午前のみ有給休暇を取得していますが残業が発生しました。割増賃金の支払いは必要ですか? 午前のみ有給休暇を取得した従業員に残業が発生した場合、割増賃金の支払いが必要かというご質問ですね。 半日有給の日に残業になったとしても、その日の労働時間が8時間を超えないのであれば割増賃金を払う必要はありません。法定労働時間は8時間です。 ただし、当たり前の話ですが、8時間を超えないときであっても、『残業をした時間分の賃金』は支払う必要があります。とはいえ、企業が独自に『恩恵的な形で割増賃金も支払う』とルール化しているのであれば、支払いが必要になることもあります。 例えば、就業規則にこんな規定がある場合です。『終業時刻を超えて働いたときに割増賃金を支払う』。規定内容をチェックして下さい。 続きを読む

有給休暇の申請のときに理由を必ず提出させることは可能ですか?

専門情報

あしたの準備 有給休暇の申請のときに理由を必ず提出させることは可能ですか? 有給休暇の申請のときに取得する理由を聞けるかどうかと言うご質問ですね。 結論から言うと、有給休暇の申請書に理由欄を設けることは問題ありません。法令などで『理由を聞いてはいけない』と定められているわけではないのです。 しかし、有給休暇の取得は従業員の権利。ですから企業側が取得理由によって制限を加えることはできませんし、理由を書くことの強制もできません。 有給休暇を取得する時は会社の事情も考えて欲しいということであれば、注力するのは理由を聞くことではなくて、申請期限の徹底ではないでしょうか?有給休暇を申請されると事業の運営に相当な影響があるときは、取得日の変更ができるからです。申請期限は就業規則で決めておきます。 たとえば、企業が2週間前までに申請するようにルールを決めていたのに、申請があったのが1週間前であったら取得を拒否できます。 ただし、2週間前までに申請をするようにルールで定めていたとしても、その期間に合理的な理由がないのであれば後からトラブルになる可能性があります。 では、『合理的な理由がある期限』はどのように決めればいいのでしょうか? それは準備期間から算出します。従業員が有給休暇を申請してきたときに、他の従業員との業務調整などにどれぐらいの時間がかかるかを考えて決めるのです。この期間は、企業の規模や業種によっても変わります。 続きを読む

『すでに別の企業で正社員として働いている人』を自社がアルバイトとして採用する場合、残業代の問題はどうなるの?

専門情報

あしたの準備 『すでに別の企業で正社員として働いている人』を自社がアルバイトとして採用する場合、残業代の問題はどうなるの? Wワーク、つまり、副業に関するご質問ですね。 Wワークが注目を浴びるようになったのは、「働き方改革」がきっかけです。余談ですが、企業がこの制度を採用するメリットは、社員のスキルアップ・優秀な人材の確保・企業のブランディングといったことです。ブランディングとは、独自のブランドを作るということ。他と区別できるもの」を作ることで、自社の価値向上を狙うマーケティング戦略です。特段Wワークをする気のない人達であっても、「柔軟な働き方」への取り組みに積極的な企業だとアピールできます。 しかしながら、これまで日本では、ほとんどの企業がこれまで副業を禁止してきました。そこには、それなりの理由があったからです。今回のご質問は、その1つ。副業により生じた割増賃金はどちらが払うかという問題です。 すでに他社で正社員として勤務している場合、つまり御社が副業先となる場合は注意が必要です。他社の勤務時間と御社の勤務時間を通算して8時間を超えたときは、『超えた部分』が残業扱いとなり、25%割増が必要です。 具体例で考えてみます。9時から16時までの6時間を他社で勤務し、その後17時から20時までの3時間を御社で勤務する場合、最後の1時間が残業扱いとなります。そう、25%割増です。 同じ日に他の会社で働いていない日でも注意が必要です。法定労働時間は1日単位だけでなく、週単位でも決められているからです。 例えば、他社で月曜日から金曜日の5日間、他社で8時間勤務している人。こうした方が、土曜日に御社で勤務するとなると、その勤務時間の全てが25%割増の対象となります。 ただし、業務委託であれば、通算する必要はありません。業務委託は通常の雇用契約ではないからです。仕事の成果に対して報酬が支払われる働き方です。 すでに他社で勤務している人を採用する際の注意点。それは採用時に他社での勤務時間、週の所定労働時間、休日を申告してもらうということです。 現時点の法令はこうですが、今後の行政の動向次第で変わる可能性もあります。労働時間の計算について、Wワークする本人の自己申告で良いのかという問題があるのです。 続きを読む