あしたの準備

持ち帰り残業が労働時間にあたるかどうかの判断基準

 はじめに

「働き方改革法案」によって「残業時間の上限規制」が誕生しました。これは「労働基準法」誕生以来の大改革。簡単にいえば、今後、残業時間の上限を超える労働ができなくなるのです。

そこで増えているのが強制退社時間のルール化。ただ、その結果増えるのが『持ち帰り残業』の問題です。帰宅後や休日に自宅で仕事をしなければならない人が、後になって残業代の支払いを要求してくるのです。

これまでは会社で残業代をもらいながら、仕事をしていた。それが、残業が禁止されたことで、自宅で仕事をしなければならなくなった。仕事量は変わらないのに、残業代が支払われないのはおかしいということです。会社は,このような要求に応じなければならないのでしょうか。

 労働時間にあたるかどうかの判断基準

実際に労働時間にあたるかどうかを判断する際には、次の3点を考慮します。

① 時間・場所といった点で制限があり、それにより行動に相当の制約が生まれている  

② どのような形で会社から義務付けが行われ、そのレベルはどのくらいか。  

③ かけた時間が社会通念上必要か。  

  

③については、通常、問題となりにくいです。残りを見ていきます。

まず、1つ目。時間や場所など、行動に相当の制約がなされているかです。というのも、自宅での「仕事」は、会社で仕事をする場合とは大きく違いますよね。食事をしながら作業を行うということもあり得る。しかも、いつ仕事を行うのかも、いつ仕事を終えるのかも本人次第です。

しかしながら、通常の時間内で処理できないくらいの仕事量であったり、極めて短期の納期でやるようにと言う指示が出ているのであれば話は変わってきます。

次に2つ目。どのような形で会社が義務付けを行い、そのレベルがどのくらいかです。一言で『命令』といっても、直接命じるケース、黙示で行われるケース、黙認するケースがあります。

そもそもの話ですが、持ち帰りは本当に必要だったのでしょうか。強制退社の時間が決められたとしても、翌日の所定労働時間内にやればいい話なのかもしれません。

例えば、管理職が部下に対して自宅で仕事を完成させてくるよう指示した場合や、携帯電話等で作業を指図している場合、労働時間と判断されます。ですから,管理職からの事実関係の聴取が必要。どのような経緯で持ち帰り残業が生まれたのかを確認するのです。

LSO労務管理事務所 久野利英

他の事務所が避けたがる困難な課題に対処している事務所

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