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法律(労働基準法関連)に違反すると、企業はどうなってしまうのでしょうか

労働基準監督署とは

よく知られている『労働基準監督署』。最後の『署』文字、警察署の『署』と同じだとお気づきでしたか?

『警察官』には『逮捕』・『捜索差押』・『強制捜査の権限』が認められています。秩序や安全の実現のためにその権限が与えられたのです。

実は『労働基準監督官』にも、秩序や安全の実現のためにこの権利が認められています。目的は、『労働基準法違反』の取り締まりです。 では、『労働基準法』などの法律に違反すると、会社にどのようなことが起こるのでしょうか。ここでは、もし『法令に違反するとどうなるのか』、そして『検察庁に送検されないための対策』をテーマにお話いたします。

労働基準監督署はどんなことを行うのか

『コンプライアンス』とは、ルールに従って公正・公平に業務を行うこと。もし『労働基準法』などに違反すると、『監督官』がやってきます。

労基署はどういったことをするのでしょうか?

まず、色々な帳簿や書類の提出を求められます。で、内容をチェック後、尋問を行う。このように「法令をしっかりと守っているかを確認するために、現場に出向く検査を『臨検』と言います。

では、『監督官』がまず行うことは何でしょうか?

①ガサ入れ

ガサ入れとは、会社事務所、生産・建設現場に証拠集めのために入る強制捜査のことを言います。色々な書類が押収され、関係者が呼び出され、『被疑者』あるいは『参考人』として事情聴取されます。

『被疑者』とは:
犯罪の嫌疑を受けて、捜査の対象とされているが、『裁判所に判決を求める手続』に入るまでに至らない人のこと。

『参考人』とは:
捜査の過程における『被疑者』以外の人のこと。例えば、『目撃者』や『事件について参考になる情報をもっている人』。

②『送検』・『訴訟手続きヘの移行』

場合によっては経営者が逮捕されたり、懲役や罰金を科せられることもあります。殺人事件でもないのに、逮捕もあるのです。

『送検』とは:
『監督署』が捜査した事件を『検察官』に送ること。
こうなってしまうと、検察官や裁判所への対応が必要になります。

『労災事故』で従業員が死亡したり、重傷を負った場合

影響

『労災事故』で従業員が死亡したり、重傷を負った場合、まず『示談』による話合いで解決を図ります。

『示談』とは:
裁判によらずに『当事者間の合意』で解決すること。

もし、合意できずに『訴訟』に発展。相手側から『損害賠償請求』がなされれば、さらなる対応が必要です。労災事故ではありますが、『労災保険給付』だけでは足りません。会社としても高額な賠償金の支払いが必要になるのです。

新聞、テレビ等、『報道機関』から『取材申し込み』があれば、さらなる対応が必要です。場合によっては記者会見場を用意しなくてはいけません。

正直いえば、会社としてはできるだけ記者会見は避け、「社会から忘れられること」を目指したくなるところです。ですが、「中長期的な視点に立って誠実な対応をしたという印象」を残すことが大事な時もあります。

具体的には、以下の点で問題が起こります。

①『助成金』がもらえなくなる

『助成金』が支給されなくなります。労働全般を管轄する厚生労働省が、助成金を出さないのは、当たり前なのかもしれません。

②『競争入札業者』から外される

『競争入札業者』から外されると、建設業など『受注産業』の場合は厄介です。

③SNSで炎上

今の時代、SNSで炎上することもあります。もし明らかな法令違反であれば大変です。会社イメージ・ブランド力・社会的信用の失墜がとても大きいからです。

③取引先との関係が悪化

『売上』・『収益』が下がれば、取引先との関係が悪化します。

④今後の採用に影響

⑤『離職者』の増加

⑥『株主』への影響

もし会社の株価が落ちれば、『株主』が経営陣に対して『損害賠償の訴え』を起こす可能性もあります。株主が離れていくことは痛手です。

『労災事故』で従業員が死亡した場合、『金銭』と『人的』の両面で経営に与えるダメージはとても大きいのです。

『検察庁』に送検されないようにするには、どうすればいいのか

では、『検察庁』に送検されないようにするには、どうすればいいのでしょうか。

最低限、次のような『法違反』を行わないことが大事です。

①賃金不払い

②過重労働

③重大な安衛法違反

④「労災かくし」

これらは、仮にどのような経営状況であっても、起こさないようにしなくてはいけません。そこで、もう少し詳しくそれぞれを見ていきます。

①賃金不払いとは

賃金不払いとは、どのような法違反なのでしょうか?

会社が労働者に対して約束どおり賃金を支払わないと、きわめて悪質な法違反と判断されてしまいます。該当するのは以下の違反です。

◎賃金の不払い(労基法24条違反)

◎時間外・休日労働等の割増賃金不払い(同37条違反)

◎最低賃金額未満の賃金支払い(最賃法4条違反)

もし、「未払賃金の立替払事業」を利用して労働者を救済した場合、その経営者は、ほぼ例外なく送検されます。この立替払いは、『会社が倒産したりして、労働者に未払賃金があるとき』に行われます。誰が会社の代わりに立て替えるかと言うと、労働者健康福祉機構。つまり政府です。ただし、立て替えるのは未払賃金の全額ではなく、一部です。

②『過重労働』とは

何を持って『過重労働』と言うのか、この基準は厚生労働省が定義する『過労死の基準』に基づきます。いわゆる「過労死ライン」です。

具体的には、次の2つです。

A)死亡前の1ヶ月間の残業時間が100時間を超えている場合

1つ目の過労死ライン、それは死亡前の1ヶ月間の残業時間で判断します。100時間を超えていると『脳や心臓疾患を発症し、死亡するリスク』が高まるとされています。

B)2〜6ヶ月間の平均残業時間が月80時間を超えている場合

2つ目の過労死のライン、それは死亡前の2〜6ヶ月間の残業時間で判断します。この期間の平均残業時間が月80時間を超えていると『脳や心臓疾患を発症し、死亡するリスク』が高まるとされています。

③重大な安衛法違反

安衛法違反で送検された事件には共通点があります。それは、法違反が主因となって死亡災害が起きたということです。

④「労災かくし」

「労災かくし」を行ったかどうかを判断する際に注目するのは「労働者死傷病報告」です。この報告書の提出が求められるのは、仕事中に従業員が怪我した場合や、中毒や病気になって死亡したり、休業が必要になった場合です。報告書を出すのは『病院への労災保険の手続きが終わった時点』だと考えていると大変なことになります。

働いている従業員の現状や賃金の支払状況を把握し、管理することは、『企業経営の基本』である。労基署はそのように考えています。『経営の基礎』として以下の点をしっかり行うことが大切です。

◎就業規則の作成・変更・届出

◎労働者名簿の作成・記入・保管

◎賃金台帳の作成・記入・保管

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