あしたの準備

残業の自己申告制と残業の許可制。その運用方法。

 「締め切り効果」を活用できる管理方法

人は時間やお金に余裕があっても、それらをすべて使い果たすように『やらなくてもいいタスク』を拡充させて、行動を拡大させてしまう。これをパーキンソンの法則といいます。例えば、やろうと思えば1時間で完了する仕事に、たっぷり1日かけたりする。

残業が生まれる原因は往々にしてこういったところにあったりする。そこで導き出せる残業対策は何か。

一言で言えば意識改革。あらかじめ『終わる時間』を決めるということです。人は宣言をすると「それをしなくてはいけない」という強制力が自然に働きます。それにより取り組む際の集中力が高まるのです。これを「締め切り効果」と言います。

そこで考え出された制度が『残業の自己申告制』と『残業の許可制』です。要するに、本人に『終わる時間』を決めてもらい、あらかじめ申告してもらうのです。そして会社がそれを許可するという形態をとる。

注意が必要なのは、『就業規則』上の規定。「所属長が命じていない時間外勤務は認めない」とハッキリと明記して下さい。

では、なぜこんな規定を入れるのでしょうか?

後になって、「実は申請書に記載した時間では終わらなくて、残業した」と言われたときの対策です。上司が命令していないのに勝手に居残って仕事を続けていたのですから、文句も言いたくなります。

実際、労基法において労働時間と認められるのは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれた場合のみとなっています。つまり、時間外労働命令の発信源はあくまでも会社側にある。労働者には「残業権」という権利はないのです。

とはいえ、居残って仕事を続けているのに、上司が黙認していたとしたら、やはり労働時間と認められてしまう。そこで、次のように運用して下さい。事前申請・許可制度が有効と認められた裁判例である、『ヒロセ電機事件』を参考にしています。

1)夕方、従業員に『時間外勤務命令書』を回覧。『時間外勤務の希望時間』と『業務内容』を書いてもらいます。

2)所属長が内容を確認。必要であれば時間を修正します。

3)所属長が従業員に時間外勤務命令を出します。

4)勤務終了後、従業員は、『時間外勤務命令書の実時間欄』に、実際に働いた時間を記入します。

5)翌朝、所属長は、「実時間」欄を確認します。

6)必要に応じて所属長は、本人に事情を確認。その後、本人了解のもとで時間外労働時間数を確定。その時間の「確認印」をもらいます。

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