あしたの準備

大きな医療費が必要になり、生活が心配です。制度はどうなっていますか?

 はじめに

大きな交通事故にあうと医療費負担が高額になる場合があります。こんな時、3割負担であっても耐えられないかもしれない。アメリカでは毎年53万世帯が破産していますが、実際、その原因の約6割が医療費、4割が病気による収入低下です。

幸いなことに、日本では基本的にそのようなことがないように制度設計されています。医療費の自己負担額(保険診療の3割負担分)が高額になった場合、所得ごとに決められた自己負担限度額までの負担で収まるようにしてくれているのです。

 制度の仕組み

では、具体的にどのような制度設計になっているのでしょうか?

自己負担限度額は1カ月単位で決められ、その額を超えた場合に、『超えた分』だけ後から返してくれるのです。これを高額療養費制度と言います。

利用の仕方には2種類あります。医療そのものの給付を受ける方法と、治療にかかった費用が後で支給される方法です。

後で支給される方法であれば、払い戻されるまで3カ月以上かかります。ですから、一時的に生活が大変になるかもしれません。そこで選択されるのが『医療そのものの給付を受ける方法』です。

この場合に必要になるのが『限度額適用認定証』。手に入れることで、窓口での支払いが自己負担限度額までになります。つまり、立替払いがいらなくなるのです。

 対象外のサービス

ただし、注意点があります。対象となるのは保険適用の医療費だけなのです。つまり、対象外となるサービスがある。例えば次のようなものです。

  • 差額ベッド代などの保険外負担分。
  • 入院時の食事代にあたる部分。

差額ベッド代とは、入院中、通常の病室より条件の良い部屋を使用した際にかかる費用です。

また、医療費の計算はかなり大変。月別、病院別、入院・通院別に計算する必要があるからです。つまり、病院・保険薬局ごと、入院・外来ごとに区別しなくてはいけないのです。

 制度の利用方法

先ほど、所得ごとに自己負担限度額が決められていると申し上げました。では、自分のランクをどのようにして病院に伝えるのでしょうか?

年齢が70歳以上75歳未満の人で考えてみます。所得区分が現役並みⅠ、もしくは現役並みⅡの方であれば、医療機関に次の3点の提示が必要となります。『限度額適用認定証』・『健康保険証』・『高齢受給者証』です。

所得区分が現役並みⅢの方や、一般所得者の方であれば、『限度額適用認定証』はもらえません。『健康保険証』・『高齢受給者証』を提示します。

なお、限度額適用認定証には使用期限があります。申請月の初日から最長で1年間です。

また、申請月より前にさかのぼって使用できません。ただし、診療の途中で『限度額適用認定証』の交付を受けたのであれば、すぐにそれを窓口に提示することで、その月分は遡って精算されます。

いずれにしても、制度の適用がされなかった期間については立て替えとなりますから、一時的に生活が大変になるかもしれません。やはり一定の貯蓄は大切ですね。

LSO労務管理事務所 久野利英

他の事務所が避けたがる困難な課題に対処している事務所

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