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変更労働時間制を導入すると得する会社は?

 変更労働時間制を導入するとメリットがある会社は?

労基法は、労働時間について、1週は40時間まで,1日は8時間までと定めています。これを法定労働時間と言います。簡単に言えば、この時間を超えて働かせれば、割増賃金などのペナルティーが発生するということです。

ですが、毎日毎日こんなふうにコンスタントに仕事がないという会社も多いのではないでしょうか。1カ月の間の間に忙しい時期と、そうでない時期がある。こうした会社では、労働時間をもっと弾力的に臨機応変に変えたいという希望を持つと思います。さもないと、競争力にも影響します。

そこで役立つのが1カ月単位の変形労働時間制。この制度は、法定労働時間の「例外」として労働基準法に定められた制度です。

では、どのような会社が多く採用しているのでしょうか。厚生労働省が平成30年に行った調査では、次の業界で多く採用されています。

・宿泊業、飲食サービス業

・医療、福祉・金融業、保険業

・電気・ガス・熱供給・水道業

・運輸業

・不動産業

・卸・小売業

 変形労働時間制とはどのような制度なのでしょうか?

次に、1カ月単位の変形労働時間制がどのような制度かをシンプルにご説明したいと思います。先にご説明させて頂いたように、法定労働時間は、週単位,1日単位で決められていました。そこで注目したのは1週間当たりの労働時間です。1週間を特定の7日間で考えるのではなく、1カ月以内の一定期間の平均で考えるのです。

例えば、その期間内に1日8時間を超えて働かせたとします。そうであるなら、その分だけどこかの労働時間を減らしておけばいい。一部ではなく、全体で考えるのです。最終的に帳尻は合っているのですから、時間外割増賃を負担する必要はありません。

具体例で考えます。月初めや月末だけ忙しいケース。そうであるなら、1週目と4週目だけ、週の労働時間を45時間とする。つまり、1日9時間働いてもらう。その分、2週目、3週目の週の労働時間を30時間にまで減らす。1日7時間にまで落とすのです。

ただし,1カ月の間に業務量の繁閑があるとしてもこの制度が合わない会社もあります。それは、あらかじめ業務の繁閑が予想できない会社です。この制度を採用する場合には,事前に『働く日』と『働く時間』を設定。従業員に通知する必要があるのです。

あらかじめ労働時間を特定しないといけない…つまり、当日の忙しさに合わせて自由に労働時間を調整できる制度ではないのです。

なお、就業規則には、所定労働日と、所定労働時間を書かなくてはいけません。その他、始業・終業の時間や休憩時間も明確にさせる必要があります。

ただ、就業規則上にそこまで書けないという会社もあると思います。例えばシフト制で管理したい場合です。

こうした会社では、その旨を終業規則に明記します。始業・終業時間の組合せの考え方・シフト表の手続方法・周知方法なども定めます。ただし、「始業,終業時刻は,起算日前に示す勤務表による」という書き方はできません。始業,終業時刻については、シフト表に丸投げできないのです(昭和63・3・14基発150号)。

 一度決まったシフトを会社の都合で変えてもいいの?

では、一度決まったシフトを、会社の都合で変えることはできるのでしょうか。行政解釈ではこう言っています。労働時間を特定する、という要件について。会社の都合で任意に労働時間を変更するような制度は、それを満たしているとは言えない。

なお、裁判例では、変更事由について、すこし判断に幅があります。厳しいものでは、『天災地変や機械の故障など、緊急をやむを得ない事由に限定』しています。ですが、一方で、『予定していた業務の大幅な変動など、例外的な事由に基づく場合は認める』というものもあります。

いずれにしても,変更は無制限に許されるものではありません。期間の途中に頻繁にシフト表を変更している。そんな実態があるのであれば、変形労働時間制の適用が否定される可能性が高まります。

また、一度特定した後に変更できるようにするには、その根拠規定が必要です。その際は、単に「業務上に必要性に応じて変更することがある」といった規定では足りない。『一度特定された労働時間を変更する』、具体的なケースを規定する必要があります。

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