あしたの準備

私の場合、労災保険が使えるか使えますか?

仕事中に事故が起きた際、労災保険が使えるか使えないか

 業務中の事故

まずは『作業中の事故』についてです。一言でそういっても「通常の作業中に起きた事故」と「直接業務に就いていない間に起きた事故」もあります。

もし「通常の作業中に起きた事故」であれば、当然「労災事故」と認定される可能性が高いです。問題は「作業中ではあるが、直接業務には就いていない間に起きた事故」です。このケースでは3つのパターンが考えられます。  

◎「作業中ではあるが、それを中断している間に起った事故」  

◎「準備中に起こった事故」  

◎「後始末中に起こった事故」です。  

まず、「作業中ではあるが、それを中断している際に起った事故」について考えてみます。「トイレに行っている時に起きた事故」と「仕事を抜け出して、家族に電話していた際の事故」で考えてみます。

まず1つ目。「トイレに行っている時に起きた事故」。この場合、「労災事故」と認定される可能性が高いです。誰でもトイレに行く。そこで働いている以上、避けられない行為だからです。

2つ目。「仕事を抜け出して、家族に電話していた際の事故」。この場合、「労災事故」と認定される可能性が低いです。私用電話は「私的行為」。大事なのは『何時していたか』ではなくて、『何をしていたか』なのです。

 作業準備中の事故・作業の後始末中の事故

次に「作業の準備中」、もしくは「作業の後始末中」に起きた事故について考えてみます。

もし業務と連結する一連の準備作業であれば、「労災事故」と認定される可能性が高いです。例えば次の3ケース。「更衣室で起こった事故」、「機械を整備している際に起こった事故」、「掃除をしている際の事故」です。

 休憩中の事故

次は『休憩中の事故』です。この場合、「労災事故」と認定される可能性が低いです。その時間帯の行為は「私的行為」となるからです。休憩時間は、原則自由行動が許されていますよね。

ですが、例外があります。「事故に会社内の施設」が関与している場合です。2つのパターンで考えてみます。1つ目は、階段が濡れていて転んで怪我をしたケース。もう1つは、「会社の屋上」でキャッチボールをしていて怪我をしたケースです。

まず1つ目。階段が濡れていて転んだケース。この場合、「職場内の階段」なのか、「職場外の階段」なのかで判断が分かれるのです。つまり、「会社施設内の階段」で骨折したのであれば、「労災事故」と認定される可能性が高い。ですが、「駅前のレストランの階段」を踏み外したのであれば、認定される可能性が低いのです。

2つ目。「会社の屋上」でキャッチボールをしていて骨折したケースです。この場合、「労災事故」と認定される可能性が低いです。「会社内の施設」とは関係がない事故だからです。

 出張中の事故

次に、出張中の事故についても考えてみましょう。この場合、別格扱いです。「移動時間」・「食事時間」・「宿泊中のすべての時間」において、「労災事故」と認定される可能性が高いのです。食事、宿泊などには当然「私的な行為」が含まれますよね。それにもかかわらずです。

例えば、仕事が終わって、「ホテルのお風呂」でくつろいでいる最中に滑って骨折したケース。この場合でも「労災事故」と認定される可能性が高い。

但し、例外もあります。出張中であっても、積極的な「私的な行為」をしているのであれば扱いが変わるのです。例えば、出張中の空き時間を利用して、「観光」をしたり、「映画」を見にいったりしているケース。こんな時に事故が起きても「労災事故」と認定されない可能性が高いです。

通勤中に事故が起きた際、労災保険が使えるか使えないか

 通勤中の事故

最後に、『作業前』『作業後の事故』について考えます。要するに「通勤災害」のことですね。

「通勤中の災害」として認められるためには、前提条件があります。「自宅」と「会社」の間を、「合理的なルート」で移動し、なおかつ「合理的な交通手段」を使っていることです。

「合理的なルート」と申しましたが、会社へ届け出を出しているルートと違っていても構いません。会社によっては懲戒処分の対象になるのかもしれませんが、「労災事故であるかどうかの認定」においては何ら影響を受けません。「通常利用できる経路」が別にあるということで、それらはすべて『合理的な経路』だとみなされます。

では、『寄り道』について考えてみます。原則、寄り道の最中に事故があっても、「通勤災害」として認められません。つまり「労災保険の補償」を受けられないのです。

但し、例外もあります。『寄り道』は『寄り道』でも、「あまりに些細な行為」であれば、「通勤災害」として補償されるのです。例えば、公園でトイレに行ったり、コンビニで買い物をしたりするケースです。

では、もう少し進んで、スーパーでの買い物、食堂での飲食、クリーニング店への立寄り、散髪、病院での治療ではどうでしょうか。

こうした行為のことを「日常生活上必要な行為」と呼びます。このケースでは、その用事をしている最中は「通勤災害」と認められませんが、その行為を終えて、改めて「通勤の経路」に戻ったところから「保護の対象」となります。

では、さらに進んだケースを考えてみます。飲み屋の飲食、映画館への立ち寄り、喫茶店での長話ではどうでしょうか。

この場合、その行為を始めた段階から労災保険は守ってくれません。

なお、余談です。そもそも通勤とは「自宅」と「会社」の間の異動のことです。しかし、それ以外であっても「通勤災害」として認められるケースもあります。例えば、「実家」から「会社」に向かう場合です。但し、このケースでは、いろいろと細かな条件があるのでご注意ください。

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