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監督署がやってくる!具体的にどうなる?最低限の対策は?

労働基準監督署とは

よく知られている『労働基準監督署』。最後の『署』文字、警察署の『署』と同じだとお気づきでしたか。

『警察官』といえば、パトロール、犯罪捜査、注意喚起を通して、社会の秩序、安全を守っています。その実現のために、『逮捕』・『捜索差押』・『強制捜査の権限』が認められているのです。

実は『労働基準監督官』にも、この警察と同じ、権利が認められています。目的は、『労働基準法違反』の取り締まりです。 『コンプライアンス』とは、「法令遵守」と訳されます。では、『労働基準法』などに違反すると、会社にどのようなことが起こるのでしょうか。ここでは、もし『法令に違反するとどうなるのか』、そして『検察庁に送検されないための対策』をテーマにお話いたします。

『コンプライアンス』とは、ルールに従って公正・公平に業務を行うこと。もし、『労働基準法』などに違反すると、『監督官』がやってきます。『監督官』には、色々な権限があります。会社にやってきて、帳簿や書類を要求し、尋問を行います。このように「法令をしっかりと守っているかを確認するために、現場に出向いて『立ち入り検査』する事」を『臨検』と言います。

『監督官』は、まず、会社事務所、生産・建設現場に証拠集めの強制捜査(いわゆるガサ入れ)を行います。色々な書類が押収されます。そして、関係者が呼び出され、『被疑者』あるいは『参考人』として事情聴取します。

『被疑者』とは:
犯罪の嫌疑を受けて、捜査の対象とされているが、『裁判所に判決を求める手続』に入るまでに至らない人のこと。

『参考人』とは:
捜査の過程における『被疑者』以外の人のことです。例えば、『目撃者』や『事件について参考になる情報をもっている人』。

次に、『送検』・『訴訟手続きヘの移行』です。場合によっては経営者が逮捕されたり、懲役や罰金を科せられることもあります。殺人事件でもないのに、逮捕なんてこともあるのです。『送検』とは、『監督署』が捜査した事件を『検察官』に送ることです。こうなってしまうと、検察官や裁判所への対応が必要です。

『労災事故』で従業員が死亡したり、重傷を負った場合

こうした場合、まず『示談』による話合いで解決を図ります。

『示談』とは:
裁判によらずに、『当事者間の合意』で解決することです。

もし、合意できず、『訴訟』に発展、相手側から『損害賠償請求』がなされれば、さらなる対応が必要です。最悪、国から支払われる『労災保険給付』だけでは足りません。会社としても高額な賠償金の支払いが必要になります。

新聞、テレビ等、『報道機関』から『取材申し込み』があれば、対応が必要です。必要ならば、記者会見場を用意しなくてはいけません。

会社としては、できるだけ記者会見を避けて、「社会から忘れられること」を目指したくなるところです。ですが、中長期的な視点に立って、「誠実な対応を果たした」という印象を残すことが大事な時もあります。

影響はまだあります。その他、『助成金』が支給されなくなります。労働全般を管轄する厚生労働省が、助成金を出さないのは、当たり前なのかもしれません。

そして、『競争入札業者』から外されることもあります。建設業など『受注産業』の場合、厄介です。

今の時代は、SNS上で炎上することもあります。もし明らかな法令違反であれば頭が痛い所です。会社イメージ・ブランド力・社会的信用の失墜がとても大きいからです。

もし『売上』・『収益』が下がれば、取引先との関係が悪化します。

また、今後の採用にも影響します。それだけでなく、『離職者』も増えるかもしれません。

もし会社の株価が落ちれば、『株主』が経営陣に対して、『損害賠償の訴え』を起こす可能性もあります。

株主が離れていくことも痛手です。

要するに、『金銭』と『人的』の両面で、経営に与えるダメージはとても大きいのです。

『検察庁』に送検されないようにするには?

最低限、次のような『法違反』を行わないことです。

  • 賃金不払い
  • 過重労働
  • 重大な安衛法違反
  • 労災かくし

これらは、仮にどのような経営状況であっても、必ず守らなければならないことです。

賃金不払いとは

これに該当するのは「賃金の不払い(労基法24条違反)、時間外・休日労働等の割増賃金不払い(同37条違反)、最低賃金額未満の賃金支払い(最賃法4条違反)」です。会社が労働者に対して約束どおり賃金を支払わないというのは、きわめて悪質な法違反と判断されてしまいます。

もし、「未払賃金の立替払事業」を利用して労働者を救済する場合、その経営者は、すべて送検されてしまいます。この立替事業は、『会社が倒産したりして、労働者に未払賃金があるとき』に行われます。未払賃金のうちの一部を、政府(労働者健康福祉機構)が会社に代わって『立替払い』するものです。

過重労働とは

厚生労働省が定義する『過労死の基準』に基づきます。いわゆる「過労死ライン」です。

具体的には、次の2つです。

A)1ヶ月間の残業時間が100時間を超えているケース。

1つ目の過労死ラインは、「死亡前の1ヶ月間の残業時間が100時間超」というものです。根拠は、『脳や心臓疾患を発症し、死亡するリスク』です。1ヶ月間に100時間を超える残業を行なうと、このリスクが高まるとされています。

B)2〜6ヶ月間の平均残業時間が月80時間を超えているケース。

2つ目の過労死のラインは、「死亡前の2〜6ヶ月間の平均残業時間が月80時間超」というものです。死亡前の2〜6ヶ月間の平均残業時間が月80時間を超えると、やはりリスクが高まるとされています。

重大な安衛法違反とは

安衛法違反で送検された事件の共通点は、法違反が主因となって死亡災害が起きたということです。

労働基準監督署とは

注目は、「労働者死傷病報告」です。仕事中、従業員が怪我したり、中毒や病気になって、死亡もしくは休業が必要になった場合には、この「報告書」を出さなくてはいけません。『病院への労災保険の手続きが終わった時点』で完了ではありません。

労基署は、『自社の従業員の現状』や『賃金支払状況』を把握し、管理することは、『企業経営の基本』と考えています。労働基準法に義務づけられているからとか、『監督官』に法違反を指摘されたからということではなく、『経営の基礎』として上記のことを日常的に行うことが必要です。

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