あしたの準備 年5日の有給休暇の取得義務。対象者は?働く時間も日数も短いパートが取得義務化となるのは、いつ? |
年5日の有給休暇。与えなくてはいけない労働者は誰?
有給休暇とは、賃金の支払いを受けられる休暇のことです。通常、お休みを取ると賃金はもらえませんが有給休暇であれば賃金をもらえます。
もらう為の要件は、直近1年間の出勤率が8割を超えていること。フルタイムで働いていれば10日間もらえます。ただし、入社してすぐは1年間ではなく半年で資格を満たしているかを判断します。
なお、長く勤めれば勤める程、もらえる日数も増えていきます。年4月から、従業員に対して年5日の有給休暇を取らせる。それが会社の義務となりました。取得義務化の対象となる人は、1年間に10日以上の有給休暇をもらう人。 ただし、パートタイマーやアルバイトも一定の要件を満たせば対象となります。1週間に働く時間が30時間未満で、しかも1週間に働く日数が4日以下の人は、働いた日数に比例してもらうのです。(1年間に働く日数であれば216日以下です。)
働く時間も日数も短いパートが取得義務化となるのは、いつ?
それでは働く時間も日数も短いこうしたパートが取得義務化の対象となるのは、いつなのでしょうか。
それは、10日間の有給休暇が与えられるタイミングです。4つのパターンで考えてみます。
- 週に30時間働くパート
- 週に4日間働くパート
- 週に3日間働くパート
- 週に2日間しか働かないパート。
①所定の労働時間が週30時間あるパート。
彼らには、10日間の有給休暇が与えられます。与えられるタイミングは、最短で入社後6ヶ月が経った時です。これはフルタイム勤務の人と同じ扱い。つまり、取得義務化の対象となるのは、入社後6ヶ月が経った時です。
②週4日間働くパート。
彼らに10日間の有給休暇が与えられるのは、最短で入社後3年半が経過したタイミングです。つまり、取得義務化の対象となるのは、入社後3年半が経過した時です。週4日勤務の場合、入社後6ヶ月が経った時に与えられる日数は7日。なので、このタイミングでは義務の対象となりません。
③週3日間働くパート。
彼らには、10日間の有給休暇が与えられるのは、最短で入社後5年半が経過したタイミングです。つまり、取得義務化の対象となるのは、入社後5年半が経過した時です。週3日勤務の場合、入社後6ヶ月が経った時に与えられる日数は5日。なので、このタイミングでは義務の対象となりません。
④週に週に2日間しか働かないパート。
彼らには、10日の有給休暇が与えられることは実質的にありません。ですから、有給休暇取得義務の対象となることはありません。
取得義務化に違反した場合、どのような罰を受けるの?
では会社が取得義務化に違反した場合、どのような罰を受けるのでしょうか。
結論から言うと労働基準法違反により30万円以下の罰金が課せられます。これは違反した従業員一人当たりの金額なので、100人に対して違反した場合は3,000万円の罰金が課せられることもあります。
有給休暇の取得状況を可視化する方法
そこまで厳罰化されながら、取得義務を守れない会社もあります。その代表的な原因は、有給休暇の取得状況が可視化できていないからです。つまり、従業員自身がいつからいつまでに有給休暇を取得するべきなのか認識できていない。そして、会社も従業員がどれだけ有休を取得しているのか把握していないのです。
この場合、有給休暇の管理方法を見直す必要があります。管理方法には、個別指定方式と計画年休制度の2つあります。それぞれの概要とメリット・デメリットの紹介を致します。
個別指定方式
この方法は、会社側で従業員の有給休暇の取得状況をチェック。5日未満の従業員に対して日付を指定して取得させる方法です。
メリットとしては柔軟性の高さが挙げられます。法人が一方的に取得日を指定するのではなく、従業員との話し合いを踏まえて取得日を決定することもできるので、満足度の向上や柔軟な働き方の実現に繋がります。
デメリットとしては、人事労務の担当者が大変だということです。個別の従業員ごとに取得状況を管理し、コミュニケーションを取っていく必要があります。
計画年休制度
この方法は、労使協定を結ぶことで、労働者が有給休暇を取得する日をあらかじめ指定する制度です。
メリットとしては個別に管理する手間がなくなることです。
デメリットとしては、労使協定を結ぶので、簡単には有給休暇の取得予定日の変更ができなくなることです。
LSO労務管理事務所 久野利英
他の事務所が避けたがる困難な課題に対処している事務所
LSO労務管理事務所(登録番号13110163号)(会員番号1319873号)
℡:070-3220-0088 fax :053-436-6265 営業時間:9:00~18:00(土日祝祭日を除く)
|
特定商取引法の表記 | プライバシーポリシー | 利用規約