
運送会社を経営するAさんは、ある社員への指導に頭を抱えていました。
荷物の積み忘れ。
配送ルートの確認漏れ。
顧客への連絡ミス。
どれも決して小さな問題ではありません。
しかし、その社員は注意を受けるたびに、決まってこう答えるのです。
「時間が足りませんでした。」
「前任者も同じやり方でした。」
「○○さんの指示だと思っていました。」
「ちゃんと教えてもらっていません。」
一度や二度ではありません。
毎回のように理由が並び、「自分にも非がありました」という言葉は、ほとんど聞かれませんでした。
Aさんは次第に疲れ果てていきます。
「反省していないのか。」
「責任感がないのか。」
「このままでは、また同じことを繰り返すのではないか。」
そう考えるようになりました。
なぜこのようなことが起きるのでしょうか。
人は、自分の存在や評価が脅かされると感じたとき、本能的に自分を守ろうとします。
例えば、
もし上司から
「今度間違えたら殺す。」
と言われたらどうでしょう。
多くの人は、
「自分のせいではありません。」
「私は悪くありません。」
と必死に説明しようとするはずです。
これは責任感の問題というより、
自分を守ろうとする防衛本能です。
職場でも同じことが起こります。
「失敗したら人格まで否定される。」
「怒鳴られる。」
「評価が終わる。」
そんな不安が強い職場では、社員は改善よりも自己防衛を優先し、言い訳や責任転嫁が増えやすくなります。
しかし、逆もまた問題です。
近年、「心理的安全性」「パワハラ」という言葉が広まりました。
その結果、往々にして
「いい加減に仕事をしてもよい」
「責任を負わなくてよい」
という雰囲気が生まれることがあります。
解決のヒント
結果だけで管理しようとすると、人は結果を隠したり、言い訳をしたりします。
そうであるなら、過程を厳しく管理するところから始めるのも手かもしれません。
例えば、
- 仕事に取りかかる前に確認したか。
- 分からないことを相談したか。
- ダブルチェックを行ったか。
- ミスが起きた後、原因を整理したか。
- 次回に向けた改善策を実行したか。
こうした「行動の過程」を一つひとつ管理していけば、
結果は後からついてきます。
