はじめに

 

裁判所の『解雇』に関する認識:労働者の生活基盤を奪う大変な事件。

『解雇』されてもやむを得ない程のケースなのかを見定めようとする。

 

そこで求められるのは証拠です。ですから、もし訴訟になれば、『問題となる社員の能力不足』について、会社側が裁判官にわかりやすいような形で立証していかなくてはいけません。

 

『法廷のなかの真実』は、あくまでも証拠によって組み立てられたもの。実際の真実がどのようなものであっても、『価値ある証拠』がなければ、事実はないものと同じです。

 

どうすれば正当と認められるか

 

裁判所:『労働者の能力が低いから、即解雇』がOKとは考えない。

では、具体的に「能力不足」の解雇が正当と認められるために、具体的に何を立証すればいいのかを見ていきます。

 

①           採用時に一定の能力が前提とされていたこと。

②           労働者の能力不足等が、就業規則上、解雇事由に該当している証拠。

③           その労働者が著しく成績が良くないこと。

④           そもそも『その労働者に対する評価』が公正なものであること。

⑤           『改善の見込み』が乏しいこと、『改善の機会』を与えてもダメだったこと。

 

①           採用時に一定の能力が前提とされていたこと。

裁判所は、『解雇が正当と認められるための条件』について、『新卒者』・『未経験者』で採用した場合と『経験者』で採用した場合とで違う扱いをしています。

 

『新卒者』や、『未経験者』として採用した場合

 

基本的に解雇は困難。

 

裁判所は、『従業員を指導し、育てていくことは会社の責任』と考えている。

もしそれでも解雇する場合

会社が従業員を育てる責任を放棄。その責任を従業員に押し付けていると判断される。

 

【経験者として、専門性を重視して採用したケース】

★結果としてその能力を持っていないことが分かった場合

★期待されたパフォーマンスを上げられなかった場合

 

解雇が認められる可能性が相対的に高くなる。

 

もともと『即戦力』として一定の能力を備えているという前提で採用しているため。

裁判所に示す証拠:

求人広告・履歴書・職務経歴書・雇用契約書など。

 

 

②           労働者の能力不足等が、就業規則上、解雇事由に該当している証拠。

労働者の欠点が、「就業規則における解雇事由に該当していること」の証明です。

 

基本的に、解雇は、就業規則に書かれている解雇事由のどれかに該当しない限り認められません。

 

裁判所に示す証拠:就業規則。

 

③           その労働者が著しく成績が良くないこと。

会社は『能力の乏しい従業員』に対して「解雇して当然」と思ってしまいがちです。

 

ですが、裁判所は『能力の乏しい』と考える『証拠』を求めます。

実際のところ、この立証が大変難しいです。

 

裁判所に示す証拠:

始末書・顛末書・取引先等からのクレーム文書・試験等における成績等の資料・労働者が作成した書類等で、ミスが多く、実際に能力不足がハッキリできるもの・能力不足を示すエピソードがあるときは、同僚・上司・人事担当者の陳述書など。

 

④           そもそも『その労働者に対する評価』が公正なものであること。

その労働者の成績が悪かったとしても、裁判所はすぐにそれを信じません。「その評価が本当に公正なものなのか」と疑うのです。

 

例えば、『客観的な基準』ではなく、『上司の主観』で決められたのかもしれません。

  • そもそも上司に『部下を公正に評価できる能力・資質』がないのではないか。
  • 『目標』そのものに問題があったのではないか。

※不当に高すぎる場合:誰が、どのような根拠で決めたのかも問題となる。

 

裁判所に示す証拠:

人事考課の資料・営業成績等、『パフォーマンス』を客観的に示す資料など。

 

⑤           『改善の見込み』が乏しいこと、『改善の機会』を与えてもダメだったこと。

『新人』に大した研修も行わないまま現場に送り出し、『潰れるなら勝手に潰れてくれ』、という姿勢の会社は少なくない。

 

 

能力不足の解雇に対して、裁判所が注目する視点

  • それに対して会社は注意・指導したか。
  • 注意・指導の内容は十分だったか。
  • 労働者に自ら改善するチャンスを与えたのか。
  • 上司の指導力。
  • 問題となっている労働者の人柄

 

裁判所は、そもそも『上司の指導力自体』に問題がなかったのかも疑ってきます。「本気で一緒に改善しよう」というマインドがなければ、相手や周囲に見抜かれます。もちろん、裁判所にもです。

 

一方で、裁判所は『問題となっている労働者の人柄』も見定めようします。

『反抗的な態度』を頻繁に示していた場合

▶それは合理的な行動でしょうか。

 

些細なミスであっても、何度も何度も繰り返している場合

▶意欲が無い、反省が無い、上司に反抗的なのではないか。

 

注意・指導を行ったの場合

▶『証拠』があるか。

※口頭で行っただけのケースでは、その立証は人事担当者・上司の陳述書や尋間に依存。

 

『労働者が注意や指導を受けていない』として争ってきた場合、立証が不十分になる可能性があります。

 

雇用契約書などの内容によるところもありますが、『配置転換』など、解雇を回避する措置も求めてきます。

 

それぞれのメンバーの能力や個性を見て、それにできるだけ合うような業務分担を心がける必要があるというわけです。そして通常、解雇ではなく、退職勧奨というアプローチで対処することも求めてきます。

 

⑥           『労働者の能力不足』が原因で、業務に支障が生じていること。

裁判所は、『能力不足が原因で、実際に業務に支障が出たこと』の立証を求めてきます。

 

労働者の能力に著しく低い部分があったとしても、それが原因で『会社の業務』に支障が出ていないであれば、解雇の正当は不当というわけです。

 

『多くの人にできることが、できない』というだけでは『解雇の理由』として不十分です。

 

裁判所に示す証拠:

労働者が犯したミスを示す文書・取引先等からのクレーム文書・同僚、上司、人事担当者等の陳述書など。

 

この先に未来がある

 

最近、『一部のリーダー』の中で、すぐに「使えない」「いらない」などの言葉で相手を非難したり、少しでも能力不足を感じると、早い段階で見切り、戦力から排除する光景を見かけることが多くなりました。

 

ですが、『方法』や『人』を変える前に、まだ取り組まなくてはいけないことはないでしょうか。

 

例えば『職場環境の改善』です。人には、『最大のパフォーマンスを発揮できる心理状態』があり、スポーツの世界では常識です。

 

裁判で問われること:

  • 部下の能力。
  • 上司や経営陣の能力や資質。

 

裁判の勝敗は、弁護士等の力量に関わりなく、戦う前に9割以上分かっています。ドラマのような逆転劇はほとんどなく、『始まる段階で結果が分かる』、これが現実です。

 

『裁判所の考え方が、経済という視点と一致しているか』は、意見はいろいろだと思います。

 

ですが、『パフォーマンスを発揮できる心理状態』は、明確に分かっており、それは成果に直結します。

 

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