通勤費を不正受給していたら… |
労働者が『会社に届け出ている通勤ルート』と異なる通勤ルートをとり、節約した分の通勤手当を着服していたとしたら、どのように対応するのでしょうか。
例えば、『通勤ルート』の途中で電車から降りて歩く、あるいは『通勤費』を請求しているにもかかわらず、自転車通勤をしているケースです。
こういった場合、次のような対応が基本です。なぜなら、このような不正受給は、『会社に対する背信の度合い』が強いと判断されるからです。
1)これまで支払ってきた通勤手当の返金や支給金額の見直しを行う。 2)懲戒処分を検討する。 |
具体的には、2つのパターンがあると思います。『嘘をついて申請をした場合』と『過失により諸手続を怠った場合』です。
誰に責任があるのか |
- 『嘘をついて申請をした場合』
通勤費に関連して従業員に期待されること(一般)
★会社に対して、通勤経路のうち、「最短経路」、「最も安い経路」を申告する。 ★もし、「通勤経路に変更があった場合」、「主たる居住地に変更があった場合」、直ちに会社宛に変更届を提出する。
※会社の就業規則を確認。 |
それにもかかわらず、本来受給すべきでない通勤手当を受け取っている。この行為は、会社に対する背信の度合いが強く、不正受給の金額や不正の継続期間等によっては、懲戒解雇等の非常に重い処分とせざるを得なくなります(東京地判平成11・11・30労判777号36頁。かどや製油事件)。
ただし、その際には、その他の要素のチェックも忘れないでください。
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『不正取得した金額』について、すでに全額返済をしている場合 情状の面を考えれば解雇は難しいと思われます。 |
- 『過失により諸手続を怠ってしまったケース』
通勤費の支給に関連する届出を数力月程度忘れていた場合 あまり厳しい処分にしない方がいい。 例)その社員から事情を聞いたうえで、過払金額を全額返済させ、口頭注意または書面による注意程度にとどめる。 |
通勤費の支給に関連する届出を数力月程度忘れていたということは、結構頻繁にあります。非難すべき度合いは弱く、懲戒処分をしなければならないほど企業秩序を乱したとはいいにくいです。
それに、『会社にも、過失がなかった』と言いにくい部分もあります。
『過失により諸手続を怠った事例』があったこと自体、このような社員のミスを未然に防ぐように徹底出来ていなかったことを意味するからです。会社には、『届出書類に変更が出た場合、直ちに届け出ること』を日頃から周知する責任があるのです。
節約分を着服していた場合 |
労働者が会社に届け出ている通勤ルートと異なる通勤ルートをとり、節約した分の通勤手当を着服していた場合 1)これまで支払ってきた通勤手当の返金や支給金額の見直しを行う。 2)本当に悪質な事案と判断できる場合にのみ懲戒解雇等の非常に重い処分に踏み切る。 |
労働者が会社に届け出ている通勤ルートと異なる通勤ルートをとり、節約した分の通勤手当を着服していた場合、どうするか。対応としては、これまで支払ってきた通勤手当の返金や支給金額の見直しを行い、本当に悪質な事案と判断できる場合にのみ懲戒解雇等の非常に重い処分に踏み切るのが適切だと思います。
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