労働条件の明示

 

ハッキリ伝えること

 

本来、雇用契約は、『口頭』で成立するものであり、法的な書面で締結する義務はありません。

 

ですが、「会社に採用されたのはいいが、いざ実際出勤してみたら、『面接の時に示された賃金や労働時間』と違う」というトラブルが多いです。

 

特に、『パートさん』の場合は、働き方が色々なので、雇い入れ後に疑義が生じてトラブルになる。そこで、「雇い入れの際の労働条件はどのように明示するのか」、具体的に法律で決められています。

 

もともと、「労働基準法上の明示事項」がありました。ですが、『パートさん』の場合、さらに「パートタイム労働法上の明示事項」まで整備されたのです。

 

具体的には次の4つです。

追加(『パートさん』の場合)

・「昇給の有無」・「退職手当の有無」・「賞与の有無」・「相談窓口」

※口頭だけではダメ。書面の交付で明示する。

 

ハッキリさせなくてはいけないこと

 

では、新規採用者に、どのように明らかにすればいいのでしょうか。

 

「昇給」

次回契約更新の時、「時給をアップすること」がある場合

 

①「昇給なし」と明示する。 

②必要に応じて「契約更新時に時給がアップする可能性がある」と説明を加える。

 

「事業所の業績」や「本人の勤務成績」などで昇給するかを決める場合

 

①「昇給制度は有り」と明示する。

②「支給されない可能性があること」を明記する。

 

例)「業績により不支給の場合あり」

例)「勤続○年未満は不支給」

 

「賞与」

 

「事業所の業績」や「本人の勤務成績」などで「賞与」を支給するかを決める場合

 

①「賞与有り」と明示する。

②「支給されない可能性があること」を明記する。

 

例)「業績により不支給の場合あり」

例)「勤続○年未満は不支給」

 

「相談窓口」

 

『パートさん』の雇用管理に関する相談窓口です。

 

『パートさん』の中には、通常の労働者との待遇差があることについて、その理由が分からず不満を抱く人も少なからずいます。

 

そんな彼らが知りたいのは、『どんな理由でこの待遇が決まったのか』です。

 

そこで行政は、次の場合、会社に説明義務を課しました。

『パートさん』が求めた場合

 

「正社員とパートさんの間の待遇差」について、内容と理由を説明する。

 

 

説明義務が課された具体的な内容

 

労働条件、就業規則、待遇、賃金、教育訓練、福利厚生施設、

通常の労働者への転換措置に関すること。

 

説明の方法

 

A)資料を活用しながら口頭で説明する(原則)。

B)「説明すべき事を網羅し、わかりやすい資料」を渡す。

 

 

待遇差の理由の具体例

 

「職務内容」、「配置変更の有無」、「成果」、「能力」、「経験」、「契約期間」など。

 

※相手が納得することまでは求められていない。

※説明が不十分だと「説明義務を果たしていない」と判断される。

 

 

例えば、「正社員とパートさんでは将来に向けた役割や期待が違う」だとか、「貴方はパートさんだから賃金は○○円だ」では、説明義務を果たしていません。

 

正社員とパートさんでは将来に向けた役割や期待が違う

▶NG(単に会社側の主観に過ぎない)

 

貴方はパートさんだから賃金は○○円だ

▶NG(抽象的すぎる)

 

就業規則が大切

 

説明する際には、後々の「紛争化リスク」を意識して下さい。説明が不十分だと、「正規・非正規の待遇の違いが不合理だということを裏付ける要素」となってしまいます。

 

『説明を求めた労働者』に対して、その後、不利益な取扱いをすること。

▶法律で禁止されている。

 

補足ですが、「雇い入れ時に明示すべき労働条件」はたくさんあります。これらをたった1枚の「雇用契約書」で、すべて伝えるのは無理です。

 

そこで、労働契約を結ぶ時に、『雇用契約書』だけでなく、就業規則を交付するようにしましょう。

 

 

『雇用契約書』▶「個人、個人異なる事項」について定める。(例:労働時間・賃金)

『就業規則』▶上記以外の詳細を定める。

 

そして面倒でしょうが、判例の動向はもちろん、正社員の待遇とのバランスを考慮した『パート社員専用の就業規則』を作りましょう。

 

正社員と区別したものを作らない場合

▶紛争化した時、『正社員の条件』をそのまま『パートさんの条件』として提示されてしまうリスクがある。

 

当然ですが、無用なトラブルを防ぐために、『就業規則』と『雇用契約書』の記載内容に饂語がないように気を付けましょう。

 

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