論理的思考力が弱く、説明が要領を得ない

「結局何が言いたいの?」と聞き返してしまう部下がいる理由

① 経営者の悩み

「で、結局どうなったの?」

営業報告を受けるたびに、そう聞き返してしまう自分に、ある経営者は疲れを感じていました。

部下が悪いわけではありません。真面目に説明しようとしてくれているのは分かります。ただ、話が起きた順番のまま出てくるだけで、「結論」がどこにあるのか最後まで見えてこないのです。

会議でも同じことが起こります。他のメンバーが要点を3つにまとめて話す横で、その部下だけが延々と経緯を話し続け、周りが困った顔をする。本人にそのつもりはなくても、次第に「あの人の話は長い」という空気ができあがってしまいました。

「地頭の問題だから仕方ない」と諦めかけたこともあります。でも、本当にそうなのでしょうか。多くの経営者様が、同じようなもどかしさを抱えていらっしゃいます。

② なぜ起きるのか(心理・労務の視点)

これは「地頭」や「能力」だけの問題ではなく、多くの場合は訓練不足評価の仕組みの両方が絡んでいます。

心理的要因:

説明が苦手な人の多くは、「結論から話す」という型そのものを教わった経験がありません。学校教育でも、多くの場面で「起承転結」や時系列で話すことが自然とされてきたため、ビジネスで求められる「結論ファースト」は、実は誰もが最初からできるわけではない、後天的なスキルなのです。

また、失敗を恐れるあまり、結論を先に言って外れることを避け、無意識に経緯から積み上げて安全に着地しようとする心理も働きます。

労務・仕組み的要因:

評価制度で「分かりやすく伝える力」が明文化されていない会社では、そもそも本人が「ここを鍛えるべきポイントだ」と自覚する機会がありません。

また、日々の業務報告がチャットの箇条書きで済んでしまう環境では、話す・書く形で「要約する練習」自体が不足しがちです。

つまりこの問題は、訓練を受けていないという心理的な背景と、それを鍛える機会を用意できていない仕組みが重なったときに起こります。

③ 今日からできる対策

大がかりな研修を組む前に、日常の中でできることがあります。

  1. 「結論はどれ?」ではなく「一言で言うと?」と聞く

    話を聞いている途中で構いません。「一言で言うとどういうこと?」と挟むだけで、本人は要約する練習を自然に積み重ねられます。

    詰問ではなく、対話の中での小さな問いかけとして繰り返すのがポイントです。
  2. 報告フォーマットに「結論欄」を1つ足す

    自由記述の報告書やチャット報告に、「結論(1行)」という欄を先頭に一つ加えるだけで、書く段階から結論を意識する習慣がつきます。

    仕組みを変えることで、個人の努力に頼らず改善できます。

ハードルは低くて構いません。まずはここから始めてみましょう。

④ 社労士としての一言

説明が苦手な部下を見ていると、つい「地頭の差」だと片づけてしまいたくなりますよね。

でも実際には、教わっていないだけ、練習する機会がなかっただけ、ということが少なくありません。

仕組み(報告フォーマットや評価基準)を少し整えるだけで、部下の伝え方は着実に変わっていきます。一人で抱え込まず、いつでもお気軽にご相談くださいね。