中国は、習近平に変わるまで、『韜光養晦(とうこうようかい)』という外交戦略を取った。
意味は、「馬鹿なフリをして相手を侮らせ、自分達は陰でせっせと爪を研ぐ」ということ。
孫子の兵法「詭道十四変」にもこうある。
~下手にでて敵をおごり高ぶらせ、油断させる~
実は、この中国の戦略には有名な逸話がある。
『韓信の股くぐり』だ。
漢の武将・韓信。
彼がまだ世に出ていない無名の頃の話だ。
町でごろつきに挑発された際、言われるがままその股をくぐった。
当然、臆病者とその場にいた大衆の笑いものになった。
では、韓信は本当に愚か者だったのだろうか?
そんなはずがない。
韓信は、その後、国士無双と恐れられる大将軍になったからだ。
この逸話が教えていること。
それは、大望を持つ者は、目先のつまらないことで人と争ったりせず、
一時的な屈辱や苦労に耐え、
将来の目標を達成するために努力すべきだということ。
実は昔の日本人はこの話が大好きで、とても有名だった。
かつて、絶対に勝てないと言われた日露戦争に勝利した東郷平八郎。
彼は、後世の日本人にこう言い遺していた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
神明は、ただ平素の鍛錬に努め、
戦わずして勝てる者に勝利の栄冠を授けると同時に
「一勝に満足して治平に安んずる者」より
直ちにこれを奪う。
古人曰く、勝って兜(かぶと)の緒を締めよ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(意訳)
驕って自分の力を過信すると、それまでに築いた富も成功もあっという間に崩れてしまう。
だからこそ、何歳になっても懸命に学び続けなくてはならない。
▶最近の日本人の間で、
熱心に働くことがまるで罪悪であるかのような風潮がまかり通っている。
『自分の好きなように、好きなことをやっていれば、人生はうまくいく』
『自分を縛るものはドンドン手放そう』
そう教える人間がいるからだ。
この世は因果律が支配している。
結局のところ、努力をしなければ、強いものの食い物になるだけ。
いかなる才能に恵まれていようが、無意味だ。
知って頂きたいのは、
世の中はどうやって弱いものから奪うかを考える人ばかりだということ。
騙せる奴は騙す。
弱い奴からは搾取する
それが世界のスタンダードなのだ。
悪い奴らは天使の顔をして、
あなたを努力させないように仕向ける。
孫子の兵法とは、『いかに戦わずして勝つか』を追求した戦略書なのだ。
念のためいうが、今話をしているのは文化や価値観の違いの一般論。
我々がそれを踏まえて、どう行動を選択するかという話に過ぎない。
文化に優劣をつけるのは、ばかげている。