知らない間に セクハラ加害者! セクハラ被害者! |
はじめに |
「そんなつもりはなかったのに、知らない間に加害者になっていた」という場合がないように、 また、そのようなトラブルが発生した時に『労務担当者』の方が適切に対応できるように、『セクハラ』について最低限の知識を身につけておくことが大切です。
『セクハラ』のご説明をさせて頂くにあたって、『セクハラ被害の相談者』を『松本さん』と呼ばせていただきます。仮名ですが、身近に感じていただくためです。なお、セクハラには、女性から男性に対するものも含まれますが、『松本さん』は女性とさせていただきます。
そもそもセクハラとは |
『セクハラ』は『男女雇用機会均等法』で規制されています。ですので、会社側は労働者からの相談があった場合に対処する義務があります。
セクハラは、『同じ行為』であっても相手によって感じ方に違いがある。 (『ある言動』が『セクハラ』になるかどうかは、その人の『主観』や『解釈』で変わる)
|
セクハラ問題が会社にもたらすリスク |
以下のようなものがあります。
B) 職場環境配慮義務違反を理由とした損害賠償責任。
E) 強制わいせつやストーカー,暴行脅迫や傷害事件としての刑事事件化。 |
何がセクハラに当たるのか |
『セクハラ』の種類
|
「強制わいせつ罪」にあたるような身体的接触は最早『セクハラ』の次元ではありません。立派な犯罪です。これは区別してお考え下さい。
『対価型セクハラ』
『松本さん』の意に反する性的な言動があり、それに対して『松本さん』が拒否や抵抗したところ、報復として『嫌がらせ』を受けること。
※『嫌がらせ』の例 解雇、降格、減給、労働契約の更新拒否、昇進・昇格の対象からの除外、客観的に見て 不利益な配置転換など。
「セクハラに当たるかどうか」と悩む人はいない。 被害者の精神や肉体を傷つける度合いが高く、場合によっては、強姦罪、強制わいせつ罪などに当たる場合もある。
加害者は『確信犯的な人間』。 言葉で注意しても心根を改めることは期待できないと思われる。
|
【具体例】対価型セクハラ
|
『環境型セクハラ』の定義
『松本さん』の意に反する性的な言動があり、それにより就業環境が不快なものとなったために、自分の能力の発揮に重大な悪影響が生じている状態。
※『対価型セクハラ』に該当しないすべてのケース。 |
【具体例】環境型セクハラ
|
グレーゾーンが存在するところ |
お聴きになっていて、「これもセクハラ?」とお感じなった方も多いと思います。
A)『対価型セクハラ』 ▶グレーゾーンは存在しない。
B)『環境型セクハラ』
|
実はこの『環境型セクハラ』において、唯一グレーゾーンが存在します。境界線は、「加害の意図」。
『セクハラ成立の要件』
|
会社で『セクハラ被害の相談者』が出た場合、『実際にセクハラに該当するか』を、その都度判断します。
①『松本さん』がセクハラだと感じること。
『松本さん』がセクハラと感じている以上、その行為はセクハラになります。ただし、判断の基準は個人差があるため、「平均的な女性労働者の感じ方」を基準にすることとしています。
②『松本さんがセクハラだと感じたことに合理性・妥当性があること』。
『合理性・妥当性』の判断基準
|
例えば、事務所内にヌードポスターを貼るのは、貼った人にセクハラの意図がなかったとしても現代の常識から考えて、明らかにおかしいです。
ですが、総務の人間が、『松本さん』に結婚や出産に関しての話を聞くことは、ケースによっては許されるかもしれません。
無自覚セクハラをしないために |
自分の行為がセクハラと誤解されないか不安な方は、今後、次の点を注意して下さい。
|
社長の頭を悩ますのは、『意図的セクハラ』を起こす人物は、たいてい社内において重要人物であることです。
『まったくの新人』が社内でセクハラを引き起こすことは通常あり得ません。セクハラが悪いことであることと知っていても、それを行っている・・、つまりセクハラは、『自分には力があって「少々のこと」をしても問題視されないという自信がある人』が起こる行為と言えます。
つまり、社内でセクハラ事件が発生した場合、社長の頭に「会社のために、この人物を失いたくない」という心理が働くことが予想できます。
被害者ができること |
職場でセクハラを受けたときに『松本さん』がまずできることは何でしょうか。
『セクハラの解決』に正解はありません。一般論で言うなら、以下の通りです。
職場でセクハラを受けたときに被害者ができること
|
セクハラなどのハラスメントは、『会社が問題を把握していたかどうか』が争点となります。会社側は労働者からの相談があったら、『再発防止措置』を講じる義務があるからです。
セクハラ問題で注意すること |
セクハラには、様々なレベルがあります。
これまでご説明させて頂いた基準に基づいて、セクハラに該当したとします。
ですが、それがすなわち『民事上の慰謝料請求を発生させる程度』であるとは限りません。
また、『刑事上の犯罪に当たる程度』であるとも限りません。
セクハラ≠違法行為≠民事上の慰謝料発生 |
小野薬品工業(パソナ)事件 『仮にセクハラに該当し、相手が不快に感じたとしても、『セクハラに該当する行為』が全て、直ちに金銭による賠償を要する民法上の不法行為に該当するものではない』。 |
『セクハラ対応の鉄則』は被害者女性を守ることです。ですが、セクハラは一般的に人目につかないところで行われることが多い。そのため、『セクハラを立証する客観的な証拠』がなく、結局、本人の言い分だけの場合も少なくありません。
そういうときに会社として『一方的に加害者の男性を批判する』のは危険です。
相手の男性から「いいがかりだ。根拠を示せ」と反論されたら、なおさら苦しい思いをすることになるからです。
裁判で勝利する側
× 真実を言っている人
◎ 証拠が揃っている人 |
裏付けは、やはり基本です。
逆に、『被害者の方』にとっては、この状況は到底許せないと思います。専門家など、第三者の協力を得るようにしてください。
【王道の経営】弊所のご案内 |
LSO労務管理事務所(登録番号13110163号)(会員番号1319873号) 174-0046 東京都板橋区蓮根1-27-11-303 433-8114 静岡県浜松市中区葵東2-9-32-106 ℡:070-3220-0088 fax :03-6322-7736 営業時間:9:00~18:00(土日祝祭日を除く)
|