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社員がハラスメントの相談に来た!何を話せばいいの?

今回は「ハラスメントの初回の面談方法」についてご説明させていただきます。初回面談の手順は、パワハラ、セクハラ、マタハラなど、いずれも基本的に同じです。

ハラスメントは初動が肝心です。相談員が初動を間違えると、相談者に失望感や不信感を与えて、問題が大きくなります。こじれてからでは、誰が対応してもうまくいかず、最終的には裁判でジャッジするしかありません。

ハラスメントの初動対応で、最も重要な手続きは、「信頼関係をつくること」です。最初に信用してもらえないと、最後まで本当のことは言ってもらえません。初回の面談の目標は、相談者の不安と緊張をほぐし、話しやすい雰囲気、環境をつくることです。

今回、ハラスメント相談者の名前を『秋山さん』とさせていただきます。

信頼関係をつくるには、最初の声掛けが大切です。

◆「お待ちしていました」

◆「お忙しい中、時間をつくっていただきありがとうございます。しっかりお話をうかがわせていただきます」

◆「お話をうかがい、一緒に問題を解決していきたいと思います」

などの言葉をかけて、自己紹介をします。

「私は……の……と申します。普段は……の仕事をしています。どうぞよろしくお願いいたします。」といった具合です。

次に、メモを取らせてもらうことの許可を得たうえで、「秘密保持」の約束をします。

伝え方は・・「相談に関する『秋山さん』のプライバシーは完全に守られています。もし私以外の第三者に情報を伝える必要がある場合、『秋山さん』にその理由と目的を説明し、どういう情報を誰に伝えるかということを明らかにします。そして、『秋山さん』の了承が得られてから伝えます。」といった具合です。

「私以外の第三者」と言いましたが、その中には、「相談員の上長」や「人権問題対策委員会」なども含まれています。

「一方的な話」で処遇を決めるのは、適切ではありません。ですので、通常、『行為者とされる人』へのヒアリングも必要になります。ただ、ハラスメント問題で気を付けなくてはいけないのは、「ハラスメント相談があったこと」が他の社員に広まるなどして、二次被害が生じることです。

そこで、『秋山さん』に「『相手の人』からのヒアリングをしていいですか」と、必ず事前に確認します。

ここで、「まだ相手には話を聞かないでください」と言われた場合は、当面は『秋山さん』との面談だけにし、状況を見計らって、『行為者とされる人』にヒアリングすることの重要性を話し合い、了解をもらうようにします。

当事者間の主張に不一致があり、「事実の確認」が十分でない場合、『第三者』から事実関係を聴取することが必要です。この場合も『秋山さん』に確認します。

『第三者』と話すときは、できれば『秋山さん』の名前を伏せます。それが無理なら、一連の対応が終わるまで外部に漏らさないように約束してもらいます。

『秋山さん』が、重要なことを話してくれるのは、「この人に話しても、秘密は絶対に守ってもらえる」という安心感を持てたときです。

相談員は、男女2名で対応するのが原則です。ただ、聞き手が2人だと不安な人もいます。なので「これから相談を進めていきますが、私以外にも、もう一人相談員に同席してもらおうと思うのですが、よろしいでしょうか。」と『秋山さん』から許可を取ります。

話を聴く時間は、1回につき50分程度です。一回に何時間も話を聴くより、何回かに分けて話を聴くようにします。

では、初回面談では具体的にどのような話をするのでしょうか。

まずは「相談に訪れた事情」のあらましを尋ねます。聞き方は、「『秋山さん』が、ここに相談にいらっしゃった事情について教えてくださいますか?」です。

相談内容の『概略』を把握してから『詳細な内容』を聴きます。『秋山さん』は「自分のことを理解してくれるのか」と不安に思っています。いきなり根掘り葉掘り聞くことは好ましくありません。

事実関係については、次の点を確認します。

(1)『秋山さん』と『加害者とされる職員』との関係。

(2)問題とされる言動が、いつ、どこで、どのように行われたか。

(3)『秋山さん』はどのように感じているのか。

(4)『秋山さん』は、『加害者とされる職員』に対してどのような対応をとったか。

(5)直接の上司、監督署等に対して相談を行っているか。

(6)『秋山さん』が主張する内容については、当事者のみが知り得るものか、又は他に目撃者はいるのか。

(7)過重労働が行われているか。違法な長時間労働を放置していると、会社も法的な処分を受けることになります。

(8)今、『秋山さん』が求めていることは何なのか。

相談においては、『秋山さん』の要望を聴いておくことも大切です。要望どおりの対応ができるとは限りませんが、ハラスメントの事実が明らかになった場合には、可能な限り要望を尊重します。

はじめから「上司を異動させてください」などの要求をしてくる人には、「要望をお聴きしました」とだけ伝えます。

『秋山さん』が要望を整理できていない場合、整理できるように、次のような確認をします。

  • 今後も会社で働き続けたいのか。
  • 会社に何をしてもらいたいのか。
  • 相手や自分の配置を変えてほしいか。
  • 相手に謝罪を求めているのか等。

会社には、「安全配慮義務」というものがあり、ハラスメントの事後対応では、迅速で適切であることが求められます。次のようなケースには緊急に対応します。

  • 被害が極めて深刻な場合
  • 『秋山さん』が非常に感情的になっていたり、精神的に不安定になっている場合
  • 加害行為が継続していたり、加害者から『秋山さん』に対して圧力的な言動が予想される場合
  • 当事者間の対立が深刻で、職場環境が悪化し、他の同僚などにも影響を与えている場合
  • 『秋山さん』が何らかの措置を求めている場合

残り時間が5分くらいの段階で、『秋山さん』に「言い残しはないか」尋ねましょう。カウンセリングの相談では、最後の5分で「実は」と急に話し始めることが少なくありません。『核心となる部分』を言うかどうかをずっと躊躇していて、最後に口を開くことが多いのです。

時間が来たら、次回の約束をします。

次に、面談の際の注意点をお話します。

『秋山さん』の気持ちが楽になれば、それだけで大きな成果と考える。

相談時間は、あくまでも「相手の時間」という認識が必要です。『秋山さん』から、「話したら気持ちが楽になった」という発言があった場合、初動はうまくいっているといえます。

注意が必要なのは、早急に自分の意見を言ったり、アドバイスしたりすることです。窓口相談員の仕事は「裁くこと」ではありません。解決困難な問題に直面して困っている人の話を聴き、気持ちを軽くし、その問題が少しでも改善されるよう一緒に考え、適切な援助の手をさしのべることです。

話は『秋山さん』のベースで聴き、『話を聴き終わってからの社内対応』は早急に行う。

ハラスメント対応は、迅速であることが求められます。ですが、『秋山さん』から急いで話を聞くという意味ではありません。話は『秋山さん』のベースでゆっくり聴き、話を聴き終わってからの社内対応は早急にするという意味です。

『秋山さん』は理路整然と話すことができず、むしろ脱線が多くなると思います。なので、ついこちらのベースで話を進めたくなりますが、忍耐強く『秋山さん』のベースに合わせます。

新しい情報が出たら、都度『秋山さん』に『再確認』します。

「……なのですね」「……という意味ですね」「……で……なのですね」と、確認を繰り返します。

聞き間違え、聞き漏らし、言い忘れ、誤解を防ぐためです。「いままでお聴きしたことは、こういうことでよろしいですか」と時折、『秋山さん』の話を(要約)するのも有効です。

『秋山さん』が沈黙している時は、すぐに質問をしたりせず、少し待ちます。

『秋山さん』が沈黙している時は、頭の中でそれまでの話を整理して、次に話すことをまとめている最中です。途中で口を挟んでしまうと、『秋山さん』は自分の言いたいことがうまく言えなくなります。重要なことや本音を話す前にも沈黙が起こります。

『しばらく沈黙が続いたあとに語った言葉』には、本音が出ていることが多いです。

事務的な対応を心掛けるのではなく、『秋山さん』と幼馴染であるような『温かみのある対応』を心がけます。

相談員は、『会社側の立場』と『相談者の立場』の間に立たされ、自分の価値観や判断は避けなければなりません。そのため、『秋山さん』の感情に巻き込まれないように、事務的に淡々と対応したくなるかもしれません。ですが、これが相談窓口担当者が一番避けなくてはいけない対応です。

こうした扱いを受けると、『秋山さん』は事情聴取を受けているような気持ちになり、「ここで話してもダメだ。何も聞いてもらえないだろう」と心を開ざしてしまいます。この結果、トラブルを外部に流出させ、問題を拡大させてしまう結果となります。

『共感』する。

一般的に、『秋山さん』には、次のような感情が起きています。

◆怒りが収まらない

◆悔しくてたまらない

◆報復してやりたい

◆気分が落ち込んで回復しない

◆無力感が強くなる

◆やる気が起こらない

◆絶望感でいっぱいになる

◆「もうどうにもならない」と思う

その気持ちに対して、共感して相手の気持ちを汲みましょう。

例えば、「それは本当に嫌なことですね」「本当に辛いですね」「その苦しみを今まで一人で抱えてこられたのですね」「ほんとうに辛い思いをしたんですね」などの言い方です。

こんなことを言うと、『秋山さん』の言い分を肯定したと受けとめられないか心配になる人がいます。ですが、こう考える人は『同調』と『共感』を混同しています。

『同調』とは、「『秋山さん』の意見と私も同じだ」という意味です。反対に『共感』とは、「『秋山さん』の言いたいことは理解できました」という意味です。

『共感』は人間関係や信頼関係をつくるときに重要なものなのです。

『相槌』も同様に心配する人がいますが、タイミングをとらえてほどよく相槌を打つことは、日常の会話の中でも行なわれていることです。『同調』とは違いますから、心配する必要はありません。

ハラスメント事案でやってはいけないことは、

  • もみ消すこと。
  • よく調べないこと。
  • 当事者間で解決するように、当事者任せにすること。
  • 被害者だけ人事異動すること。
  • ハラスメントの内容・動機・程度・反省の有無・過去の会社における処分事例とのバランスなどを考えないで、処分内容を決めること。・・・です。

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